企業のIT活用/IT経営の基礎知識

失敗しないIT投資の判断方法 DCF法

IT投資をすべきかどうかは効果(リターン)を考えて判断します。そのための手法としてDCF法と簡便法をご紹介します。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

投資と効果(リターン)を考える

中小企業の経営者やシステム導入担当者からよく適切なIT投資額は一体いくらなんだという質問が出ます。

投資の基本は投資をした額と効果(リターン)です。両方を比べて、効果の方が多ければ投資の成果が上がったことになりますので、この効果について考えてみましょう。

IT投資の効果としては定量的効果定性的効果があります。

定量的効果というのは、例えば売上額がIT投資をする前に比べて20%アップになった、今まで3人でやっていた業務が2人ですむようになり、人件費を削減することができたなど量ではかることのできる効果のことです。

定性的効果というのはIT投資によりリアルタイムで会社の経営状況を見ることができるようになった、情報の共有化が進み、営業マンがお互いのノウハウを開示しあう雰囲気になっているなどの定量的に換算することが難しいような効果のことです。

IT投資により同業他社に先んじて小売店とネットワークを構築し、囲い込みをはかり、自社への受注を高めることができるようになったなども定性的な効果と言えます。もっともこの場合は戦略的効果と言った方がふさわしいでしょう。

問題は、この定性的効果を金額で評価するのがすごく難しい点です。ですので基本的には定量的効果と投資額を比べて、投資をすべきかどうかの判断をします。

投資の判断をしてみよう

例えば400万円のIT投資を行うことにより5年間、毎年純利益が100万円キャッシュとして余分に入るようになる投資案件があるとします。

  1年目 2年目 3年目 3年目 5年目
純利益 100 100 100 100 100


5年間の増加した純利益の合計が500万円ですので、投資額400万円に比べて、100万円多くなります。このIT投資はすべきと判断するのでしょうか?

いえいえそう単純ではありません。例えば1年後の100万円は今の100万円と同じ価値を持っていません。今100万円を債権などに投資したとします。例えば1年後に5%のリターンが期待できるとすると1年後には105万円になっています。

その投資計算がDCF法です。ではさっそく見てみましょう。

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