固定資産の棚卸は毎期実施する
自分の会社にある財産をチェックするということなど当然とお思いでしょう。しかし、決算対策をする上で税理士と経営者との間で、よく以下のような会話が発生します。税理士
「えーっとこの台帳に載っているトラックですが、相当古いですね、まだありますか?」
社長
「え、トラック?うちは10年前から配送を外注化したので、当社にはトラックはないはずだけど…」
税理士
「あと、この印刷機ですが、同じような型式が2つありますね。これは、確か買い換えをされたとかいってませんでしたか」
社長
「そうだよ。印刷機は当社には今1台しかないよ。この古いほうは新しいのを買ったときに廃棄したんだけどな。このことは経理部長にはいっておいたのになー」
会社経理上、すでに廃車や廃棄、除却してしまった固定資産の未償却の帳簿金額は、その期の費用にすることができます。さらには除却処理がされていないということは、償却資産税(不動産の固定資産税に相当するもの)も払っていたと想定されます。余分な税金ですよね。
正しい経理処理が、正しい納税につながる良い例であると思います。
使っていない固定資産は「有姿除却」
一方、「保有はしているものの現実に使用していない固定資産は費用処理できないのだろうか?」そうお考えになった社長さんもいるのではないでしょうか。そのような場合にはぜひ、「有姿除却」を実行してください。これは、すでにその使用を廃止しており通常の方法では事業に使用することが不可能だと思われる固定資産(特定の製品をつくるために使用していた金型など)で、将来的にも再利用されることがないことが明らかな固定資産が対象です。
そのような固定資産については実際に除却処理がなされていなくても、帳簿金額から処分(売却)をしたときの見積額を差し引いた残額の費用処理が認められます。
ただし、そのような固定資産については、他の固定資産と区別して管理しておき税務調査時に詳細に説明することが求められるでしょう。
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