大学生の就職活動/就職活動の準備

大学別 就職活動の標準的スケジュール(4ページ目)

大学分類別の就職活動の標準的なスケジュールを示しながら、自らの就職活動の進み具合と、これからのプランについてを指南する。ポイントは大学格差はあっても、乗り越えることが出来ない壁ではないということだ。

執筆者:見舘 好隆

活動のペースを有名大学に合わせれば何とかなるわけではない。

就職活動
入学偏差値に関わらず、行きたい会社には努力すれば行ける事を、心に刻んで欲しい。
以上のグラフを見る限り、就職活動はできるだけ標準的な時期に遅れないように行うことが大切であることが見受けられる。早く登録しエントリーすれば、受験できる企業も当然増えるのだから当たり前である。

しかし、それは国立1・私立A、国立2・公立、私立Bに言えることで、私立Cに関しては就職活動の早さが内定の早さに繋がっていないことが労働政策研究・研修機構の報告書「大学生と就職」で明らかになっている。一体なぜなのだろうか。個人の努力だけでは抗えない何か別の要因、すなわち大学格差が存在するのだろうか。確かに先行研究でも、入学難易度と就職活動との有意性は指摘されている。理由として平沢は以下にまとめている。
  • 難易度の高い大学の学生ほど、入社後の訓練費用が安い。
  • 難易度の高い大学の学生ほど、職務で必要される技能を高める教育をしている。
  • 大学入試によってもともと潜在的能力の高い者が選抜されている。
  • 大企業ほど有名大学の卒業生という社会的により正統性の高い要素を取り込もうとする。
  • 有名大学の卒業生の方が経営者に近い文化や忠誠心を持っている。
  • 有名大学ほど、多くのOBと出会い、より規模の大きい企業に就職している。
※平沢和司「大学から職業への移行に関する社会学的研究の今日的課題」、日本労働研究雑誌、2005/9
じゃあ、私立Cの大学生はどう足掻いても、大学格差を乗り越えることは出来ないのかいえば、私はそうではないと思っている。考えてみて欲しい。有名大学と同じタイミングで就職活動し、受験する企業の数を増やすだけなのでは駄目なのであれば、君自身、つまり君が「企業が求める力」、つまり「基礎力」を意識して上げればいいのではないだろうか。

大学全入時代に突入しようとしているということは、今まで大学には入れなかった学生が大学生になったことを意味する。つまり、高卒では受験すらできなかった企業に挑戦できる権利を得たのだ。さらにリクナビなど就職サイトを用いて就職活動することが普通になったからこそ、卒業生に大企業に入った人が例えいなくて就職課に資料が無くても、受験できる機会を有名大学と同等に与えられているのだ。よって、「企業が求める力」「基礎力」を、有名大学の学生と同等に持てさえすれば、内定を取ることは不可能ではない。決して私立Cだから駄目だなんて、諦める必要なんか無いのだ。

図にすると以下になる。
大学レベルと内定
私立Cの赤い部分の学生がいる限り、彼ら、言い換えればハイ・パフォーマーがどのような大学生活を過ごし、どのような就職活動を行ったのかを調べ、真似すればいい。少なくとも、黒い部分の学生と同じ努力をすれば必ず内定は取れるはずだ。ただし注意して欲しいのは、ハイ・パフォーマーがどこの企業に行ったかではない。私立Cの学生にも関わらず、ハイ・パフォーマーが大学生活や就職活動においてどんな行動をし、「基礎力」を身につけたのか知り、そして彼らが持つ「基礎力」のレベルに追いつくことが大事なのだ。

少なくとも私立Cの内定率は72.9%で、大企業の内定者も5.9%いる。決して絶望的な数字ではない。大学生にならなければ、挑むことさえできなかった目標。確かにいろんな点で入試難易度が高い大学より不利かもしれないが、可能性はゼロではない。大学格差は確かに存在する。でもそれは所属する大学生トータルの統計的な結果であり、君個人が努力できる視点で考えれば、乗り越えることが出来ない壁ではない。

よって、
  1. 標準的な就職活動のタイミングを押さること。
    少なくと遅れた分、受験機会を失う。
     
  2. 自らが所属する大学の入学難易度を考慮すること。
    同じ大学の学生と同じペースや意識では、入試難易度の高い大学の学生に勝てない。大企業・人気企業を目指すのなら、入試難易度の高い大学の大学生と、同じペース・意識で挑もう。
     
  3. 自らの「企業が求める力」「基礎力」を伸ばす努力をすること。
    一部の企業を除けば、大学名で受験機会を失うことは無い。では、エントリーシートや面接で要求される「企業が求める力」「基礎力」を身につけ、高めればよいはずだ。
以上3点を押さえ、自らが努力し到達できる目標に蓋(ふた)をせず、就職活動に挑戦して欲しい。
※基礎力と大学分類における大学がとるべきキャリア支援については、以下の私の論文を読んでね。
「大学におけるキャリア支援プログラムの考察~採用母集団の再構築の可能性~」立教大学大学院・経営学修士論文(調査研究)
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