大学生の就職活動/就職活動の選考対策

就職活動での自己PRの書き方!壁を乗り越える力をうまく伝える方法

今回は就職活動での自己PRの書き方をご紹介いたします。企業はいきなり即戦力としての「壁を乗り越える力」を要求しているのではない。つまり「今それができる人」ではなく、「入社後、成長して、それができる人」を望んでいるのだ。

執筆者:見舘 好隆

<目次>

就職活動での自己PRの書き方……「壁を乗り越える力」を表現!

就職活動での自己PRの書き方……壁を乗り越える力を伝える方法!

学生時代、たくさん失敗してきた。でもそれを乗り越えたからこそ、その力を伝えたい。しかし、それをどう表現すれば伝わるのだろうか?


今まで、意中の企業が求めている力が「コミュニケーション力」 「主体性・積極性・忍耐力」だった場合に、その力をエントリーシートや履歴書に書くコツを記してきた。

最後に、最も難しい力「壁を乗り越える力」を表現する方法を記しておきたい。

まず、「壁を乗り越える力」とは何だろうか。前回記したリクルートワークス研究所定義の「基礎力」に照らし合わせてみよう。
  • 対人基礎力
    • 親和力:一緒に働く仲間と信頼関係を築く。
    • 協働力:目標に向けてチームワークを発揮し仕事を進める。
    • 統率力:いわゆるリーダーシップ。組織全体を把握する。
  • 対自己基礎力
    • 感情制御力:感情に流されない。
    • 自信創出力:ポジティブシンキング。モチベーションを持続させる。
    • 行動持続力:率先して行動し、それを習慣付ける。
  • 対課題基礎力
    • 課題発見力:課題に気づき、整理する。
    • 計画立案力:課題を解決するための計画を立案する。
    • 実践力:立案した計画を実行する。
  • 処理力
    • 言語的処理力:文章の要旨を把握し、その目的を理解する。
    • 数量的処理力:計算する、グラフ表を読み取る。
  • 思考力
    • 論理的思考力:収集した情報を組み合わせ、分析し、構造的に理解する。
    • 創造的思考力:全くのゼロから思考する。オリジナリティな発想をする。
「壁を乗り越える力」は、「基礎力」の分類の中では、「対課題基礎力」に該当することがわかる。「対課題基礎力」は以下の三つの力に分類されている。
  • 課題発見力:課題に気づき、整理する。
  • 計画立案力:課題を解決するための計画を立案する。
  • 実践力:立案した計画を実行する。
何となく「対課題基礎力」とは何かが、見えてきたような気がしないだろうか。もう少し「対課題基礎力」への理解を深めてみよう。
 
※基礎力のうち、「対人基礎力」「対自己基礎力」「対課題基礎力」は面接やグループディスカッションで測定されることが多く、「処理力」「思考力」は、SPIなど筆記試験で測定されることが多い。よって、エントリーシートに書くべき自己PRは、「対人基礎力」「対自己基礎力」「対課題基礎力」を書きべきである。
 

「対課題基礎力」=「対人基礎力」+「対自己基礎力」

「壁を乗り越える力」は、「対人基礎力」と「対自己基礎力」のアレンジなのだ。

「壁を乗り越える力」は、「対人基礎力」と「対自己基礎力」のアレンジなのだ。


「壁を乗り越える力」は文字通り、
  1. 乗り越えるための課題を抽出し、
  2. その課題をこなすプランを作り、
  3. 実行する
力である。どうも「対人基礎力」や「対自己基礎力」よりも、奥が深そうな力である。

さて、どうやってその力を示せばいいのだろうか。以下の図を見てほしい。
3つの基礎力の相関
この図は、以前私がマクドナルドのアルバイト(クルー)の基礎力を測定したデータを分析した結果をまとめたものである。
  • 対人基礎力が平均よりも高いクルーは、対自己基礎力も有意に高い(逆も同じ)。
  • 対課題基礎力が平均よりも高いクルーは、対人及び対自己基礎力が有意に高い。
考えてみれば当たり前で、対人基礎力が高ければ、人とコミュニケーションする機会が増え、対自己基礎力もそれに比例して高まるだろう。逆に、対自己基礎力が高ければ、自らをコントロールすることでき、対人基礎力も徐々に高まっていくだろう。

そして、壁にぶつかった時、それを乗り越える(対課題基礎力)ためには、当然他人の支援(対人基礎力)と強い意志(対自己基礎力)が必要となる。それを両方手に入れ、発揮された時に初めて壁を乗り越えることができるはずだ。

つまり、

「対課題基礎力」=「対人基礎力」+「対自己基礎力」

と表すことができる。よって、エピソードに「対人基礎力」「対自己基礎力」両方を発揮したことを書けばいいことがわかる。
 

「壁を乗り越える力」を表現するエピソードを引っ張り出す!

たった一人で頑張って突破したエピソードでは弱い。必ず周囲を巻き込んで、チームで乗り越えたエピソードを用いるべし。仕事は一人でするものではないのだ。

たった一人で頑張って突破したエピソードでは弱い。必ず周囲を巻き込んで、チームで乗り越えたエピソードを用いるべし。仕事は一人でするものではないのだ。


対課題基礎力をさらにブレイクダウンすると、以下の項目となる。
  • 課題発見力:課題に気づき、整理する。
    • 「情報収集」必要に応じて、人に聞く・書籍を調べる・実際に見に行くなど、適切な方法で情報を集めることができる。
    • 「本質理解」他人からの視点を大切に、客観的に情報を分析し、その問題について集中して考え、考察を深めることができる。
  • 計画立案力:課題を解決するための計画を立案する。
    • 「目標設定」自分だけでなく周囲も納得するようなゴールイメージや目標を設定し、周囲を巻き込んでいくことができる。
    • 「シナリオ構築」目標達成のために、様々な場面を想定して、各々に対応した行動計画を予め設定しておくことができる。
  • 実践力:立案した計画を実行する。
    • 「行動を起こす」目標達成に向けて、率先して手本を示し周囲を巻き込んで計画を実行することができる。
    • 「修正・調整」より成果を高めたり効率を上げるために、全体的な視野に立って、状況をみながら周囲と協調して計画ややり方を変更することができる。
「壁を乗り越える力」は、必ず「コミュニケーション力」と「自分をコントロールする力」が必要であることがわかるだろう。

さて、例えばとある企業が「問題解決する力」を求めていたとしよう。まず、「コミュニケーション力」と「自分をコントロールする力」に分解してみると良い。
<例>
  • 「課題発見力」
    (接客アルバイトで)売り上げを伸ばすために、まずお客さまからの意見を吸い上げ、周囲を巻き込み、プランを実行したエピソード。
    (ゼミ活動のフィールドワークで)プレゼンテーションで高評価を得るために、まず先輩たちに「いいプレゼントは何か」「どこがポイントなのか」を確認し、メンバーと何度も練習をすることを提案し、実行したエピソード。
  • 「計画立案力」
    (塾講師アルバイトで)担当になった学生に対し、将来の夢を聴きながら、その学生が今問題としていることをピックアップし、一つ一つクリアしていくプランを考え、実行したエピソード。
    (英会話サークル)TOEIC対策の勉強会を組織するために、まず対象者が苦手とする設問のタイプ何かを、それをクリアするにはどのくらい時間をかけて何をすればいいのか示し、目標に手が届く感覚を表現したエピソード。
  • 「実践力」
    (留学で)英会話力をさらに高めるためには、現地で友人を作ることが近道だと考え、ホストファミリーや先生に学生たちが活動しているボランティアをいくつか教えてもらい、参加することで「英語を話さなくてはいけない機会」を意識して増やしたエピソード。
このように、他人の力を借りながら、自らをコントロールし、課題を解決したエピソードを記せば、なるほど、対課題基礎力があるなと、人事はきっと感じてくれるだろう。
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企業はそんな難しい力を要求しているのではない。

もう一度言おう。
企業は「今それができる人」を望んでいるのではない。
「入社後、成長して、それができる人」を望んでいる。

君の過去に確実にあるはずの、その力を発揮したエピソードをアレンジして、伝えるだけの話なのだ。


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