大学生の就職活動

大手企業に内定する“トップFラン大学生”3つの特徴とは?就活戦略

就職活動の時期を迎えた際に大きな不安を抱えがちな低偏差値・低知名度の大学に所属する通称「Fラン大生」。大学の知名度や社会的評価の低さに負けることなく、大手企業に内定する、就活で結果を出すための戦略を解説いたします。

小寺 良二

執筆者:小寺 良二

ライフキャリアガイド

大手企業に内定する“トップFラン大学生”……3つの特徴とは?

大手企業に内定するトップFラン大学生

人気企業に内定する“トップFラン大学生”には「基礎力(ジェネリックスキル)」が備わっている

就職活動の時期に、「学歴フィルター」などのハードルに直面し、大きな不安を抱えがちな低偏差値・低知名度の大学に所属する、通称「Fラン大生」。だが、以前ある某Fラン大学でキャリアカウンセラーを務めていた知人が興味深い話をしていた。

その大学の学生たちは基本的に就職活動で苦戦する傾向にあるのだが、彼が担当する学生たちのトップ5%は、他の学生と同様無名大学に所属していながら、早慶やMARCHの学生たちが多く入社する人気企業の内定を数社獲得するという。そしてその5%の学生たちにはいくつかの共通点があると言っていた。

たとえ低偏差値、低知名度のFラン大学に所属していたとしても、早慶の学生たちのように人気企業から内定を得られるのであれば、それは他のFラン大生たちにとって希望となるだろう。そしてそんな「トップFラン大生」の特徴や就活の仕方に共通点があるとすれば「Fラン大生の就活戦略」として活用できるはずだ。
 
<目次>
 

1.密度の濃い就業体験を通じて基礎力を鍛えよ

そのキャリアカウンセラーが担当、内定を数社獲得するトップ5%の学生たちのひとつの特徴が、「3つ以上のバイトを掛け持ちしている」ということらしい。要は「働きまくっている」ということだ。そしてその学生たちのほとんどが働く理由として挙げるのは「学費を自分で稼ぐため」であるという。

「3つ以上のバイトを掛け持ちしながら、学費を自分で稼ぐ」とどうなるのか。

まず日々の学生生活はバイトで忙しくなる。しかも1日に2つ別の仕事をやることも増える。ある学生は平日の朝にファミレスの朝食のシフトに入り、大学の授業に出て夕方から夜にかけてガソリンスタンドで働き、週末は派遣で携帯ショップの販売員をしているという。

大学時代のアルバイトで「多業種を経験している」というのは就活の場面でメリットに働くことがある。なぜならば3つの業界の現場を熟知していることになるからだ。先ほどの学生であれば、飲食とエネルギーと通信、3つの業界に関して現場の視点を体験をベースに語ることができる。またそれぞれの業界で働く社会人(正社員)との接点が多いことで「社会で(会社で)働くって大変なことなんだな」「でもそれぞれの業界や仕事ごとにやりがいや楽しさってあるんだな」とアルバイト先を比較しながら仕事観が養われる。

そして「アルバイトの掛け持ち」が就活に最も影響する要因が、「仕事を通じて社会人基礎力が鍛えられる」ことだ。

社会に出てどの仕事でも求められる能力のことを「基礎力(ジェネリックスキル)」と呼ぶ。コミュニケーション力や計画力、忍耐力などはどの仕事をする上でも必要で、企業は面接やインターンシップなどを通じてこの基礎力が高い人材を探している。

実は高学歴の人材は「学力」という記憶力や計算力を含めた「情報処理能力」が高い人材ではあるが、社会人基礎力があるというわけではない。

トップFラン大生たちは「社会の場で濃密に働く体験」を通じて、自然とそのような能力を身につけている可能性が高いといえる。当然、就職活動をすれば大学名に関係なくそのような能力を企業は評価するので、複数社から内定が得られるのも納得だ。
 

2.自分の大学の魅力を語れるようになれ

学生時代にアルバイトを経験する学生はたくさんいるが「自分で学費を稼いでいる学生」と他の学生は何が違うのか? 実は先ほどの掛け持ちのアルバイトで忙しいトップFラン大生たちのほとんどが「授業を休まない」傾向にあるという。

要は自分で学費を稼いでいるということは、もし授業に出ず単位を落としてしまったら必死に学費のために働いている意味がなくなってしまうのだ。そのために授業にはなるべく出て、レポートなどの提出物も(必要最小限の時間と労力で)期限に間に合うように提出する。当然授業を担当する教授からの評価は高いので仲良くなる。すると何かあった時(バイトのシフトでどうしても授業に出られないなど)には融通を利かせてくれる。

ある教科を好きになるのには、その教科が面白いと感じる前に、その教科を担当する先生が面白かったり、仲良くなったり、そのようなことがきっかけになることはよくある。誰でも、中学校や高校でも同じような経験があるのではないだろうか。

大学でも同じで、その学問の教授と仲良くなることで、入学時は全く興味もなかったその専門分野に興味を持ったり、授業に出ているうちにそんな先生方や仲間がいる大学を好きになったりするようだ。

そのためトップFラン大生のほとんどは自分の大学のことを悪く言わない。むしろ「世間的には無名で偏差値も低いんですけど、意外といいところあるんですよね」と自分の大学の魅力を語ることができるのが共通点のようだ。

これは就活の面接の場面で企業の採用担当者に衝撃を与える。ほとんどのFラン大生は自分の大学に自信がなく、コンプレックスを持っているからだ。逆に早慶など他の有名大学の学生たちの横で、その無名大学の魅力について体験を交えて語られると、その大学を過去に学歴フィルターをかけて落としていた企業は後悔するだろう。ぜひ自分の大学の魅力を見つけ、それを就活の場面で堂々と語って欲しい。
 

3.合説を通じて企業との直接接点で勝負せよ

就活の仕方もトップFラン大生にはひとつの共通点があるという。それは「合説(合同企業説明会)を中心に活動していること」らしい。

多くの学生は就職情報サイトで企業にエントリーし、エントリーシートやWebテストをクリアして初めてグループディスカッションや面接の機会を得る。ここで「学歴フィルター」で大学名でふるいにかけられ、選考に進めない(実際は別の理由で落とされていることも多いが)と嘆くFラン大生が毎年多い。

トップFラン大生は自分たちの「弱み」をちゃんと理解している。それは「勉強がそんなに得意ではない=Webテストや筆記試験に強くない」ということだ。そのためまずは直接企業の採用担当者に会える合説に出向き、そこで最初の企業接点を持つ。

狙っている企業があれば必ず採用担当者に話しかけるという。社会で働きまくっているので社会人に物怖じすることはない。そしてあえて自分の大学名は隠さずに伝えるのだ。人気企業で早慶やMARCHに囲まれ慣れている採用担当者なら、その積極的でコミュニケーション力のある、そしてどことなく社会で揉まれていそうな無名大学の学生が逆に印象に残り「一度ちゃんと話してみたい学生」として記録される。実際にそれで面接の機会を与えられるかどうかは企業によって異なるが、その担当者にとって「話してみたい学生」にまずなることはファーストステップとして大きい。

トップFラン大生たちは無謀な戦いは挑まない。そもそも学費稼ぎのアルバイトで忙しいので、就活に時間や手間などかけていられないのだ。何十社も人気企業にエントリーして他の学生たちに埋もれ、苦手なWebテストで落とされるくらいなら、最初から直接接点を持てる合説に赴くのは戦略上合理性が高い。

トップFラン大生から学ぶべきことは、自分たちの入学した大学の社会的評価や知名度が決して高くないことに屈することなく、自分たちの力で自分の人生を切り開いていることであろう。それは決して一部の学生にしかできない特別なものではなく、誰でも覚悟と行動力さえあればできることであるので、ぜひ参考にされたい。
 

企業が採用時に求めている「基礎力(ジェネリックスキル)」

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