大学生の就職活動/就職活動での業界・企業研究

就職活動ケーススタディ「ホテル業界」 1(3ページ目)

就職活動は多くの壁にぶつかる。自分の経験では希望業界の自己PRが書けない事に気づいたり、第一志望に書類で落ちたり。もう頑張っても無理だと心が叫ぶ時どう抗うのか?主人公と共に壁を乗り越える疑似体験をせよ。

執筆者:見舘 好隆

【2.自己分析】最初にぶつかった壁。エントリーシートが書けない!

藍子の【5.活動】は比較的早い。まず大学3年11月、バイト先であるデニーズの先輩の紹介で、某ホテルのOG訪問を実施している。

12月にはサービス業(特にホテル業界)への就職支援するサイト「リクラボ」のイベントや勉強に参加、ホテルへの就職意識を高めていった。同じ業界を目指す他大の友達も作った(参考記事「忍法『茶しばかへん?』の術」)。ホテル見学もこの頃からすでにスタートし、1月には有料のホテル業界セミナーにも参加している。

「この頃、一番就職活動が楽しかった!」

1月には「肩慣らし」として、フード業界の会社説明会に積極的に参加し始める。フード業界ならアルバイト経験がそのまま自己PRに繋げられるし、エントリーシートもスラスラ書けるのだ(彼女はフード業界に合計10社受験し、4月に1社内定をもらっている)。

さて、本命のホテル業界だが、業界研究の結果「Aホテル」を第一志望に決めた。その「Aホテル」の会社研究も抜かりは無い。ホテル見学は何度も、そして先輩訪問は二人に会い、そのうち一人にはその先輩が就職活動を行った時の履歴書のコピーさえもらっている。完璧といって良いだろう(参考記事「先輩訪問における15の掟!」)。

2月に入り、ホテル業界の会社説明会が活発化してきた。本命の「Aホテル」の会社説明会は3月末。それまでにホテル業界は全て受験するつもりだ。

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しかし、藍子はここで壁にぶつかった。

「フード業界のエントリーシートならいくらでも書ける。でもホテル業界のエントリーシートは、いくら情報収集をしてもうまく書けない!」

エントリーシートを書くには当然「自己分析」をしなくてはいけない。過去を振り返ったり、自分を見つめることで「やりたいこと」「できること」「すべきこと」を言葉にするのだ。

「やりたいこと」は明確だ。「ホテルで上級のサービスを身に付けたい」だ。

「すべきこと」も明確だ。「自らの接客で人を幸せにすること」だ。

問題は「できること」だ。過去を振り返ればフード業界のアルバイト経験しかない。ファミレスやファーストフードのアルバイト経験者なんて、きっと履いて捨てるほどいるだろう。何の自慢にもならない。

「しまった!ホテルのアルバイト、それが無理でもせめてフード業界以外での接客バイトをしておけば良かった…」

つまり、もっと「機会創造」しておけば良かったことに、この時点で藍子は気づいたのだ。「機会創造」は「情報収集」では賄えないことに気づいたのだ。

時、既に遅し。いまさら新しいアルバイト経験を積む時間なんて無い。仕方なく「できること」はデニーズでの接客経験を不安ながら書くことになった。


その不安を胸にしながら、藍子は歯を食いしばって、前に進んだ。


※次のページで、「走りながら考えること」の効用を学ぶ!
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