大学生の就職活動/就職活動での内定から入社まで

内定先に入社する決意(後編)(5ページ目)

自分のキャリアは自分で決める時代になったとはいえ、ある程度は新卒で入社する会社に育ててもらうことを考慮に入れるべきだ。目先の知名度や初任給の額、業界、仕事内容だけで選ぶのは、視野が狭すぎる。

執筆者:見舘 好隆


その会社の研修制度を吟味してみる

最後に研修制度について考えてみよう。みなさんはついつい、初任給や賞与の額だけを見ていないだろうか? また、福利厚生施設の有無とか、休暇制度だけを見ていないだろうか? それは甘いぞ。もっとキャリアプラン上、大切なチェックポイントがある。

それは、自分のキャリアを磨く研修制度があるかどうかだ。

例えば、前述した「日産ラーニングセンター マネジメント インスティテュート」や、ソニーの「ソニーユニバーシティ」、ユニクロの「ユニクロ大学」、マクドナルドの「ハンバーガー大学」など、各社いろいろ研修制度を設けている。ただ上司にしごかれるOJT(On the Job Training)より、体系的にビジネスを無料で学べるのであれば、自分のキャリアにとって言うことなしだ。

また、2007年に東京の日比谷にオープンするホテル「ザ・ペニンシュラ東京」は、開業前に日本人を採用し、ザ・ペニンシュラ香港やバンコクにて10ヶ月間研修を行う「ペニンシュラ・アンバサダー・プログラム」を実施する。もちろん研修修了後は「ザ・ペニンシュラ東京」に就職できる。研修期間中はお小遣い程度しかお給料は出ないので、学生のみなさんから見たら「行くわけない!」と思うかもしれない。でもよく考えてみよう。タダでみっちり海外で勉強でき、実力をつけて東京に働けるのだぞ。私から見たらよだれが出るような研修制度だ。日本でOJTするより、遥かに自分のキャリアに箔が付くのだから。。

働いているうちに自分のキャリアが見えなくなった時、「ケイコとマナブ」をみてキャリアを磨くことを考える方法もあると思うが、そもそも勤めている会社にキャリアを磨く制度があれば、言うことはない。追加で貯めたお金を投資しなくて済むし、プライベートの時間も削らなくて済む。

このように、初任給の額がいくら高くたって、たくさん休める制度があったって、キャリアに行き詰ったときにかかるコストや時間を考えれば、それが用意されている会社のほうがトータルで自分のためになる。新入社員の時には覚えることが山ほどあって、研修制度なんて使えないかもしれないけど、仕事に慣れたときのことを考えれば、とても重要なポイントとなるのだ。

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以上、今回は自分のキャリアにおいての会社の「役割」を考えてみた。

自分のキャリアは自分で決める時代になったとはいえ、みなさんのキャリアの第一段階においては、やはりある程度会社に育ててもらうことを考慮に入れるべきだ。目先の知名度や初任給の額、業界、仕事内容だけで選ぶのは、視野が狭すぎる。

また、せっかく努力して内定を取った会社なのに、短絡的に転職を選んでしまわないためにも、自分が成長できる素地があるかどうかは、見極めるべきだ。

もちろん、会社が育ててくれた分は、一生懸命働いて恩返しをしたい。そしてこの会社でもう学ぶことがなくなったら、卒業(=転職または独立)する。

私はそれが今の日本における会社の付き合い方だと思う。



「内定先に入社する決意(前編)」も引き続き読むべし!

※伊勢丹のキャリア開発も結構充実している。

※通信教育や英会話などが割引になる制度は、結構どこにもある。出勤時間としては当然カウントされない。

※ジョブローテーション(定期的にさまざまな仕事を経験する制度)やキャリアチャレンジ制度(他部署への異動を希望する制度)の有無も確認しよう。携わっている仕事にやりがいを見出せなくなったとき、転職をしなくても済むのだから。



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