大学生の就職活動/就職活動での内定から入社まで

内定先に入社する決意(後編)(2ページ目)

自分のキャリアは自分で決める時代になったとはいえ、ある程度は新卒で入社する会社に育ててもらうことを考慮に入れるべきだ。目先の知名度や初任給の額、業界、仕事内容だけで選ぶのは、視野が狭すぎる。

執筆者:見舘 好隆


その会社の役割を、自分のキャリアプランにおいて考える

記事「希望は未知なる自由に存在する!」 「天職なんて、存在しない!」でも書いたが、そもそも自分の希望通りに働くことができる会社なんて存在しないし、さらに言えば、今みなさんが思い描いている仕事自体が、みなさんにとって天職であるかどうかなんてことも怪しいものだ。もしどうしても自分が今思い描いている仕事に就きたかったら、自分で会社を作って社長になるしかない。

また、いま君が思い描いている天職は、インターンシップやアルバイトで経験したらまだしも、まだ経験していないのに、天職だと確信できる論拠は無い。また、その達成感は長期間続くかどうかもわからない。もしかしたらすぐに飽きるかもしれない。そもそもやりたいことなんて変遷するものだから。

よって、ここでは大前提として、「点」で考えてはいけない。あくまでも「線」だ。長いあなた自身のキャリアプランにおいてのその会社の位置づけを、考えてみることだ。


一つ例を出そう。私が新卒で入ったのは旅行会社。夢は海外で働くことだったからだ(詳しくは記事「自己分析は『希望の轍』」参照)。そのころの海外勤務のイメージは、海外のブランチで日本人旅行客の相手をすることなのだが、いきなり「人事」に配属されて、海外勤務からは少し遠くなった気がした。が、むしろ近づいたことに働いてみて気付く。なぜなら海外支社にも「人事」は当然あって、海外支社へ異動する道も当然あったのだ(入社前にそんな道があるなんて知る由も無い)。4年ほど働いたのち、販売促進に異動することになってチャンスを生かすことはできなかったが、代わりに英語が堪能な私の部下がロサンゼルスに異動した。よって英会話教室にでも行って話せるようになっていれば、少しは状況が変わったかもしれない。

また、私が採用を担当した新卒の学生で、面白い男子学生がいた。彼は入社時から私と同様「将来は海外でビジネスするんです!この会社は3年で辞める!」なんて言ってた。彼はツアー手配の部署に配属になるのだが、現地のランドオペレーター(パッケージツアーの現地部分を専門に手配するベンダー)に人脈をしっかり作り、3年後に転職、ニューカレドニアに渡った。しっかり新卒で入社した会社を、自分のキャリアプランに利用したのだ。

また私の例に戻れば、旅行会社→インターネットプロバイダと経て、現在都内の大学で、キャリア開発プログラムを企画運営している。転職した理由は、今までプライベートでずっと学びそして実践してきた「大学生のキャリア自律支援」を本業にするためだ。そして、私が好きなこと、そしてやりたいことは、学生の大学生生活及び卒業後のキャリアが光に満ち溢れていく様をみることであり、その支援をしていくことだ。こんな風に明確に「やりたいこと」「働く意義」を言えるようになったのは37歳。遅い方かもしれないけど、実際こんなに時間がかかってしまった。

結局、学生時代に自分の天職が何かなんてわかるわけない。でも思い描いている夢に近づいてみて、「試してみる」ことはできる。

また、ニューカレドニアに渡った彼のように、将来の夢に近づくための「人脈を得る」ことはできる。

そして、長期間働きながら模索して初めてぼんやりしていた「働く意義」の輪郭が見えてくる。



将来の夢をリアルにする過程には、「試すこと」「人脈作り」「働く意義の獲得」が必要だ。内定を取った会社で働くことが、一体どの過程になるかどうかを、考えてみよう。


※新卒で働く会社の位置づけを「知識やスキルを得ること」にすることも無駄ではないが、「知識」「スキル」はプライベートの時間でも比較的得やすい。「試すこと」「人脈作り」「働く意義の獲得」は、実際働いてみないとなかなか得ることは難しい。



※次のページで、その会社において、自らが成長できるのかを吟味する
 
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