就活で「何がやりたいのかわからなくなってきた……」とき
やりたいことがわからない状態になったら?
「面接がうまく行かない」「自己PR&志望動機がうまく言えない」という悩みを聞いていて気が付くことがあります。「あなたの一票」を見てもその傾向が出ているのですが、どうも根本的な問題があるのです。
それは、「やりたいことがわからない」ことです。
- 社会人になってから、やりたいことがある。
↓ - だから就職活動をする。
↓ - やりたい仕事ができる・もしくは身に付けることができる会社がある。
↓ - だからその会社の社員になる。
↓ - その会社にその思いを伝えなくてはいけない。
↓ - だから手紙(自己PR&志望動機)を書く。
これが「就職活動」だよね。なのに、一番大切な「社会人になってから、やりたいこと」を忘れていませんか?
ここで、「あれ、そもそも何がやりたかったっけ?」と悩んでしまった人へ。
きっとそれは「やりたい仕事」を就職ガイドや就職サイトという、「カタログ」から選んだからだと思う。
仕事を「カタログ」から選んじゃいけない。なぜなら、「カタログ」に載っている「仕事」は、この世の中にある仕事の「ほんの一握り」だから。あなたに合う、本当にやりたい仕事は、「カタログ」に載っていないかもしれないから。
では、「カタログ」に載っている仕事がいかに少ないか、いかに狭いのかという話を、次のページでするね!
就職先、これだけの選択肢があることを知っていますか?
農園、農機具、農業、農業学校、農業協同組合、脳神経外科、農薬、農林水産省、のこぎり、のし、ノベルティー、のぼり、糊、海苔、のれん。ヘアサロン、塀工事、べっ甲、別荘分譲・管理、ベッド、ペットショップ、ペット美容室、ペット美容教室、ペットフード、ペットホテル、ペット霊園、ベトナム料理、ベビーカー、ベビーシッター、ベビー服、ベビーホテル、蛇料理、ヘリコプター、ヘルスメーター、ヘルメット、変圧器、ペンキ、弁護士、ペン字教室、編集プロダクション、ペンション、弁当、弁理士、便利屋。
毛髪業、モータースポーツ、模擬テストサービス、木材商、木製品、木炭、模型、餅、木工業、もつ鍋店、モデルガン、モデル紹介所、モデルハウス、物置き、モノレール、もやし、文部科学省。
これ、何だと思います?これは、職業別電話帳「タウンページ」の千代田・中央・墨田・江東・江戸川区版の五十音順索引「の」「へ」「も」に書かれている職業です。
会社もあれば、役所もある。職人や料理人、アスリート、パイロット、政治家だっている。働く種類もスタイルも星の数ほどあることが、これでわかるよね。決して「カタログ」に載っている「仕事」「会社」が全てではありません。
というわけでみなさん、ちゃんとこの星の数ほどある選択肢の中から選んで、就職活動をしているのですか? 今みなさんが志望している会社は、この数ある選択肢の中の、ほんの一部に過ぎないことを、ちゃんと理解していますか?
じゃあ、本当に選ぶべき会社はどこにあるのだろう?
実はその会社は、「あなたの周り」にあるのです。
あなたの側に、あなたのやりたいことがある例を説明するね。
自己分析をしてみよう!「大学生時代に接した」仕事があるはず
自己分析をしてみよう!
4年生の人は約3年前。あの初々しき大学1年生の頃を思い出してみよう。きっと夢を一杯持って、キャンパスを歩いていたはずです。
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ちょっと私の話をしてみます。
そもそも私は父の仕事(父は職人でした)を継ぐのが嫌で、無理矢理大学に行かせてもらいました。大学で文学部史学地理学科を選んだのは、中学校の社会科の先生になるのが夢だったから。そうそう、学校の先生でも、特に海外の日本人学校の先生になりたかったので、インドのデリーまで行って、飛び込みで先生に会ってもらったなあ(麻雀もしたなあ)。
そして先生になるにあたり、引っ込み思案な性格を治すため、演劇部に入ったのでした。演劇部では役者と、照明と両方やりました。特に照明の操作はアルバイトでもやっていて、コンサートやバレエの照明のプランやセッティング、操作を身に付けました。アルバイトはこの他に、デパートでの応接セット販売や寿司屋もやりました。
「おいおい、じゃあなぜ先生になっていないの?」というと、それは演劇にはまりすぎて、教職を落としたからです。無理言って大学に行ったので、留年はできなかった。じゃあ、何になろうと思った時、6ヶ月放浪したインドの影響か、「大学生にガンガン海外旅行に行ってもらおう!」と旅行会社を目指したのでした。バイトしていた照明会社からもお誘いを受けましたが断りました。そして、学生旅行に強い小さな旅行会社を選びました。
お、そうそう、釣りも大好きだったので、釣りの出版社も受験したなあ。結局辞退したけど。
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つまり、私の大学時代には、幾つかの将来への選択肢がありました。
・父の後継ぎ
・社会科の先生
・照明技術者
・応接セット販売員
・寿司職人
・旅行会社
・釣りの出版社
知らず知らず、たくさんの「仕事」に触れていて、その中から「旅行会社」を選びました。昔の学生は、私と同じように今までに触れていた「仕事」の中から、進路を決めていたと思う。
でも今は、就職ガイドや就職サイトなど「カタログ」に掲載されている「仕事」の中から、人生の進路を選んでいるような気がするのです。それでは、途中で「なぜ働くのか?」「なぜこの会社を志望しているのか?」「なぜこの仕事がしたいのか?」わからなくなってしまいます。
もしくは入社してから、「こんなんじゃなかった」と辞めてしまう可能性が高くなってしまいます。
みなさんも学生時代に、たくさんの「仕事」に触れているはずだと思う。私の例のように、家族やアルバイト、部活動の周辺だけでなく、ご贔屓のカフェや美容院、本屋、ゲームセンター、ボーリング場、釣具屋、マンガ喫茶、レンタルビデオショップ、雑貨屋…よく考えてみたら全部「仕事」なのです。ほら、たくさん「会社」があるじゃないですか。
「カタログ」から仕事を選ぶのって、何だか「賭け」みたいで怖いよね。だからこそ本当は、みなさんが触れた「仕事」の中から選ぶ方が、自分に合った仕事を選ぶことができるのです。
だって、ずっとその仕事の「側(そば)」にいたのですから。
あなたが思うやりたい仕事で就職活動する!
「見舘さんの言いたいことは、何となく分かる。確かに興味のある仕事が、自分の回りにあることが分かった。でもどうやってその興味ある仕事へ就職活動すればいいの?」では、私が受験した釣りの出版社の話をしよう。
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当然、釣りの出版社は、就職ガイドや就職サイトには載っていません。で、どうしたかというと、よく読んでいた釣り雑誌の巻末にある電話番号に電話したのでした。
「あのう、○○大学の見舘と申しますが、人事担当の方はいらっしゃいますか?」
「(人事の人が出る)ああ、○○大の学生さんね。どうしたの?」
「実は御社にとても興味がありまして。釣りが大好きなんですよ!」
「ふーん。うちの試験は10月だよ」
「それなら、それまでに一度御社の社員とお話でも」
「ああ、それなら同じ大学出身の社員がいるから。おーい!(とその先輩を呼んでくれる)」
というわけで、アポを取り、後日お会いしてお話を喫茶店で聞きました。そこで10月の試験内容や、仕事内容を聞きました。試験の内容は、釣りの基本用語(ウキとか針とか糸のいろんな呼び名など)だそうで、おお、それなら楽勝だ!と思いました。聞くところ、あまり受験者がいなく(小学館や集英社、講談社ならともかく、マイナーな出版社を受験する学生はいないそうです)まあ、君なら受かるよと言われて嬉しかったものです。
でも結局、10月までに旅行会社から内定をもらっちゃって、受けませんでした。あのまま受けて入社していたら、また違った人生だったでしょうね。それはそれで、楽しかったかもしれません。
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わかってもらえたでしょうか。
「友達も就職活動しているから」「大学卒業したら会社に入るのが普通」「就職先は就職サイトに載っているところから選ぶんでしょ」など、受身なままでは、一番肝心な「やりたいこと」が見えず、面接でうまく話すこともできず、自己PR&志望動機もうまく書けるわけありません。
順序が逆。「やりたいこと」があるから、その「やりたいこと」ができる会社へ就職活動するのです。これ以上のわかりやすい就職活動は無いよね。自己PR&志望動機はスラスラ書けるし、面接でも話したい事が山ほどあってたまらなくなるよ。
もう一度、「何がしたいの?」「なぜ就職するの?」という本質的なあなたの想いを、はっきりさせてみてください。そしていつもそれを胸に秘めて、その想いを貫いて就職活動をして下さい。
そんなあなたになら、内定はきっと、側に来てくれるよ。
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