原因は「説明不足」と「コミュニケーション不足」
これは根が深そうだということで、今度は再びAさんからも話をお伺いして、経理部長、営業部長と三人でミーティングをしました。営業部長は常々、「お得意先のために、より良い仕事をするために必要であるのならば、多少のお金がかかっても良い」と言っていたそうです。これは別に間違っていませんよね。もしもお得意先に急ぎで来てほしいと言われれば、普段は電車で行くところも、タクシーを使っても良いでしょう。また、お得意先と仕事が遅くまでかかってしまったのであれば、その労をねぎらうために夕食を共にするのも良いかもしれません。営業社員の彼は、この言葉を履き違えて、「お得意先と使うお金ならば、何でも経費になる」と勘違いしてしまったようです。
一方で、経理部長曰く、Aさんが経費精算を断る際、その理由を上手に説明できていなかったこともわかりました。説明が上手く出来ないと、正しいことでも伝わらないですよね。それでは意味がありません。ここは経理側でスキルアップしなければならないところでしょう。また、普段から部署同士の交流もあまり無く、それがお互いの無理解につながっているらしいということもわかりました。
今回は、その後の話し合いで営業の社員の人もAさんも納得したそうです。
ところで、コミュニケーション不足が招いた今回の事例は、たまたまこの会社だけに当てはまる事例でしょうか?
「経理」という役割の意味
お互いの存在意義を認めて、尊重しあうようにすればこんな問題は起こらなかったかも……。 |
「すべてのものには価値がある。道端の小石にだって」
当たり前のことですが、これって、今回の件にも当てはまるのではないでしょうか?それぞれの部署にはそれぞれの意味があります。営業だって、総務だって、そして経理だって役割や意味があるわけです。お互いの存在意義を認めて、尊重しあうようにすればこんな問題は起こらなかったでしょう。単にコミュニケーション不足といって片付けてしまうのではなく、経理から積極的にイベントや場を作ってみたり、あるいは、経費精算の際に「お疲れ様でした」とひとこと言葉を添えるだけでもずいぶんと違ってくるでしょう。そんな工夫のひとつひとつも経理の仕事といえるかもしれません。
ちなみに、この会社、この年から全社一堂に会して忘年会をするようになりました。今では、益々素敵な会社になりましたよ!
……ただ、忘年会の経費が増えているのはちょっと気にはなりますが。
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