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離婚時のマンション処分!財産分与の仕組み

やむを得ず離婚となった場合、2人の共有財産を分けることになりますが、マンションの場合は簡単ではありません。「どちらが住むの」「ローンは誰が払うの」問題は山積みです。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド


離婚時、マンションはどうやって処分すればいいのだろうか?
「バツイチ」なる言葉が誰にでも通用するようになった昨今、ひと昔前のように「離婚は恥ずかしいこと」といった観念は薄れてしまった印象です。1年間に26万7000組(平成16年)ものカップルが“誓ったはずの愛”に終止符を打つようになっているからです。離婚が成立すると今度は、夫婦で力を合わせて築いた財産をどのように処分するかが新たな問題となりますが、共働き夫婦でマンションを購入している場合、簡単には片付かないことがほとんどです。

というのも、マンションのような不動産は「(現物を)夫と妻で半分ずつに分ける」という訳にはいかず、また、売却して換金しようにも長引く資産デフレの影響によって希望価格で売れることは期待しにくいからです。さらに、住宅ローンが残っていれば「誰が支払うの?」といった問題も、当然ながら発生してきます。「夫と同じ空気を吸っていることさえ我慢できない(?)」関係になってしまえば元のサヤにはおさまらないのでしょうが、(やむなく)シングルアゲインを控えた方々へ、今回は離婚時のマンション処分について「財産分与」の仕組みをご説明します。

離婚できる場合 できない場合


結婚の対極にある「離婚」とは、婚姻関係を解消する行為です。結婚が両性の合意のみに基づいて成立するように、離婚も当事者同士の合意があれば認められます(協議離婚)。ところが、こじれてしまった場合には家庭裁判所の仲裁による離婚(調停離婚)、あるいは司法の力を借りなければならず(裁判離婚)、民法では裁判で離婚が認められる場合の離婚原因を以下のように定めています。


 1) 配偶者に不貞な行為(浮気)があったとき
 2) 配偶者から悪意で遺棄されたとき(例:生活費をまったく入れない)
 3) 配偶者の生死が3年以上、明らかでないとき
 4) 配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき
 5) その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき


『恋愛』は法律に縛られることがない一方、『離婚』には“分かれるためのルール”が法律化されているのです。このことからも、生涯にわたり円満な夫婦関係を継続することの難しさが垣間見える気がします。

財産分与の対象とは?


何とか無事(?)に話が進むと、いよいよ財産の処分に移りますが、その際の考え方が「財産分与」です。財産分与とは婚姻期間中に夫婦力を合わせて築いた財産を離婚時に清算することで、家財道具から預貯金や株式(有価証券)、マイカー、さらにゴルフ会員権までもが対象になります。逆に、結婚前から単独所有していたものは一切含まれません。また、結婚期間中の取得であっても、たとえば、奥さんのアクセサリーやご主人専用のパソコンなど、日常生活で夫婦が固有に使用しているものは財産分与の対象にならないと考えられています。

そもそも財産分与には、こうした夫婦共有財産の清算としての性格(清算的財産分与)のほかにも、離婚後の生活をサポートする性格(扶養的財産分与)や、慰謝料としての性格(慰謝料的財産分与)があります。そこで、財産の処分時には夫婦の収入格差や子供の有無(親権)、年齢、はたまた再婚相手の存在など・・・様々な事情を考慮して、総合的に判断することが求められるのです。

マンションを財産分与するにはどうすればいいの?


それでは、本題であるマンションの処分方法についてみていきましょう。まずは、マンションの評価方法についてです。基本的な考え方は、住宅ローンが残っている場合、分与時の時価(実際の市場価格)から住宅ローンの残額を差し引いた金額が評価の対象となります。取得時の購入価格は関係しません。そして、算出された評価額に対し、夫婦それぞれの“寄与度”に応じて財産を分配することになります。

寄与度とは、マンションの取得にあたり、ご主人および奥さんが「どの程度貢献したか」の割合を指し、たとえば同程度の収入である共働き夫婦であれば、寄与度は2分の1ずつとなります。また、奥さんが専業主婦で頭金の負担もゼロであれば、寄与度は100%ご主人という具合です。なお、専業主婦だと「寄与度がゼロ」となるのは清算的財産分与の考え方ですので、扶養的あるいは慰謝料的な性格を加味すれば、寄与度はその分上がることになります。


 次ページで、より具体的にみていきましょう。
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