こういう場合はどうなるの?


具体的に行動を起こす際、住宅ローンの残ったマンションで問題になりやすいのが、

 ・夫婦のどちらがマンションに残る(住み続ける)のか?
 ・住宅ローンの返済はどうするのか?

です。データは古くなります(平成9年)が、厚生省(当時)が行なった調査によると、「離婚による転居の状況」は以下のようになります。

<離婚による転居の状況>
親権者が父親の場合親権者が母親の場合
転居する割合27.7%66.6%
転居しない割合71.4%33.1%
不 詳0.9%0.3%

想像するに、マイホームの名義がご主人であることが多いからなのでしょう。当時の調査結果では、奥さんが家を出る割合が高いことが分かります。こうしたケースでは名義変更もなく、ローンの返済もご主人が継続するでしょうから、特に問題になることはないでしょう。

問題になるのは、マンションを奥さんに譲り(名義変更)、奥さんは引き続きマンションに住み続ける一方、住宅ローンはご主人が離婚後も返済を続けるケースです。本来、100%の名義を取得したら、奥さんがローン返済も負担するのが原則ですが、特にご主人に非があるような場合には、奥さん側に有利に働くことも珍しくないようです。この場合は、登記原因を財産分与とする所有権の移転登記を行なわなければなりません。また、多額のローンが残っているような時は、後々のトラブルを回避するためにも「ご主人が返済を行なう」旨を公正証書などの書面にしておくと安心です。

むやみな名義変更は「マイナス」の一面も……


しかし、名義変更には応じても、ご主人が離婚後の返済までは負わないことも十分考えられます。この場合は奥さんが返済することになりますが、奥さんの収入によっては、ローンの融資元(金融機関)が名義変更を許可しないこともあるようです。住宅ローンの契約内容が変わるわけですから、債務者の変更手続きも必要になりますが、その際に、奥さんの返済能力が問われることになるのです。名義変更ができなければ、名義はそのままの状態で奥さんが住み続け、ローンの返済はご主人が行なうことになります。

なお、名義変更を行なうと、マンションを譲り受けた奥さんには毎年、固定資産税がかかり、また、譲ったご主人に対しても、購入価格より分与時の時価が上回る場合には、その差額に譲渡所得税がかかってくることになります(一定条件を満たすと3000万円までは課税されない特別控除があります)。税金についても考慮することを忘れないようにしましょう。

※ 財産分与は離婚が成立した日から2年以内に請求しないと時効となります。

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長引く資産デフレの影響で、住宅ローンの残高がマンションの時価を上回る「担保割れ」の状態になっている物件も少なくありません。“想定の範囲内”では困りますが、やむを得ず離婚となった場合に、せっかくの財産(不動産)が「“負”動産」となって自分の首をしめるようでは本末転倒です。今回のコラムが役に立たないよう、夫婦円満でいられるよう努力を惜しまないことが当面の最優先課題といえるでしょう(笑)。


【ご注意とお願い】
本コラムは財産分与に関する一般的な内容に終始しています。各家庭における離婚時の事情によっては本編の記事が当てはまらないケースも想定されます。従いまして、当該コラムはワンポイントアドバイスと考え、最終的な判断は各自にてお願いいたします。また、個別のご相談にも対応いたしかねますので、ご了承ねがいます。


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