サービス提供責任者の業務をようやく評価
今回、ようやく評価されたものとして、訪問介護事業所のサービス担当責任者の業務があります。サービス提供責任者は、下記のような業務を行うことが規定されています。- 訪問介護計画の作成
- 訪問介護の利用申し込みに関わる調整
- 利用者の状態の変化やサービスに関する意向の定期的な把握
- サービス担当者会議への出席等による居宅介護支援事業者等との連携
- 訪問介護員に対する具体的な援助目標及び援助内容の指示、利用者の状況についての情報伝達
- 訪問介護員の業務の実施状況の把握
- 訪問介護員の能力や希望を踏まえた業務管理
- 訪問介護員に対する研修、技術指導
- その他サービス内容の管理についての必要な業務
以前から、サービス提供責任者は現場のヘルパーとはまったく違う幅広い業務と重い責任を担っていると言われていました。にもかかわらず、報酬設定がなかったため、サービス提供責任者の給与は厳しい運営を迫られている事業者にとって、言わば持ち出しでした。今回、サービス提供責任者が初回利用者について担当ヘルパーとの同行訪問等を行った際に算定できる「初回加算=200単位/月」、居宅サービス計画にない緊急訪問を行った場合に算定できる「緊急時訪問介護加算=100単位/回」が創設されたことで、いくらか報われるのではないでしょうか。
またサービス提供責任者に関しては、これまでの常勤要件を緩和し、「常勤職員を基本としつつ、非常勤職員の登用を一定程度可能とすること」と、基準が改正されました。この点については、委員の間で「評価する」「非常勤にするのは望ましくない」と意見が分かれました。「常勤に限定すると非常勤の優秀な人を登用できない」という、非常勤をよしとする委員の意見も理解できますが、私は業務内容からすると常勤が望ましいと思います。こうした要件を緩和すると、次第に緩和したときの意図から外れて、サービス担当責任者のレベル低下→サービスのレベル低下を招くのではないかという懸念が拭えません。
訪問介護に関しては、短時間の訪問介護の報酬アップがありました。
・身体介護(30分未満) 231単位/回 → 254単位/回
・生活援助(30分以上1時間未満) 208単位/回 → 229単位/回
しかし今回も、利用者から要望の多い生活援助の2時間枠は設定されず、また、身体介護の延長分介護報酬は相変わらず83単位のままでした。このあたりについても、もっと検討してほしかったと思います。
また、議論の過程においては、訪問介護の担い手は72%が非正規雇用であり、50代以上が54%となっている、介護保険において最も大切な在宅サービスが不安定な雇用の年配者で支えられている現状をこのままにしておいていいのか、という指摘がありました。そして今回の処遇改善では、有資格者数や常勤率などで評価され、こうした担い手が評価の対象となっていないことに対する疑問の声もありました。今後は、他業界とは違う介護労働者の特殊性を考慮した上で、いかに処遇を改善していくかについての検討も必要でしょう。ベテランヘルパーがリタイアしたあとの担い手を確保するためにも。
※次回の記事「介護職の専門性を介護報酬で評価?」では、
- 短時間・個別のリハビリテーションの評価の創設
- 介護福祉士を多数配置している施設等への加算の創設
- 施設等における認知症対応への加算の創設
※ご意見の書き込みはご意見・ご感想欄へ。
多くのご意見をお待ちしています!
※「介護・福祉業界で働く」のサイトでは、他にも介護・福祉に関するさまざまな情報を提供しています。
トップページから、さらに情報をゲット!
※記事更新情報や業界新情報などを配信しているガイドメールマガジン購読の登録はこちらから