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介護保険法の解釈・運用の温度差(3ページ目)

介護保険制度は国が定めた制度。しかし、その法解釈、運用は、地域の実情に合わせられるよう、住民に近い立場にある保険者に委ねられているって知っていましたか? これについてのご意見も募集します。

執筆者:宮下 公美子


介護保険を使うには親不孝なほうがいい

家族と同居している利用者に対して、訪問介護の生活援助サービスを提供できるかできないか、については、自治体によって、見解に大きな開きがありました。

非常に厳しい解釈をしていた自治体では、同じ自治体内に住んでいたら同居と見なして提供不可。あるいは別居の家族が夜、見守りのために泊まりに来るだけで同居と見なして不可というところがありました。これには、介護保険を使うには親不孝なほうがいい、という皮肉まで飛び交ったものです。一方で、完全な同居でも家族が就労や通学で留守にしている日中独居の場合は提供可というゆるやかな保険者もありました。

保険者の解釈にばらつきがあり、一時は「同居」の定義にまで話が及んで、玄関が1つだと同居だが、玄関が2つある二世帯住宅は同居と見なさないといった、「珍」解釈まで出てきたと聞いています。また、一部の大手訪問介護事業者の中には厳しい自治体に合わせて社内ルールを作り、提供可能な自治体でも提供しないケースが出てきて、利用者はよけい混乱したようです。

これについては厚生労働省も問題視し、「家族と同居しているからといって、一律に生活援助のサービス提供を不可とするのは望ましくない」という異例の通知を、2008年8月に再度改めて出しました。しかし、原則として、介護保険法の解釈、運用は各保険者に任せるという姿勢です。

転居によって、それまで利用できていたサービスが使えなくなるケースもあり、利用者は混乱しますし、なかなか納得もいかないのではないかなと思います。

保険者によって、介護保険法の解釈、運用が異なることについて、どう考えますか。
ご意見をお聞かせください。

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