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コムスンの介護事業譲渡について考える(3ページ目)

介護事業から撤退するコムスンの事業譲渡先が決まりました。施設介護事業はニチイ学館に、在宅介護はニチイ学館を含む大手3社が30都道府県の事業を引き継ぎます。はたしてこれで良かったのか? 考えてみます。

執筆者:宮下 公美子

結局、大手だけに任せたいのか?

在宅介護事業の譲渡先は、地元を熟知している地域密着の事業者を選定したい、という話だったはずですが、結局は、ジャパンケアサービスが13、セントケア・ホールディングが12、ニチイ学館が5と、30都道府県は大手が引き継ぐことになりました。これについて、第三者委員会の堀田委員長は、「社会福祉法人やNPOの応募が少なく、財務面、職員の継続雇用など基本的条件も満たしていなかった」と説明しています。

しかし、大手3社と比べれば、NPO等小規模事業者の財務基盤が弱いのは当然のこと。地域密着の小規模事業者は、現在の介護報酬のもとでは財務基盤の安定した事業運営などできるはずありません。そうしたハードルを設けた時点で、小規模事業者を排除していたとも言えます。

せっかくの全国的なサービス機構改革のチャンスだったのですから、都道府県、あるいは市町村から、地域密着で質の高いサービスを提供している事業者を推薦させて、コムスンの事業所を譲渡。そして、補助金を出すなどして、安定した運営ができるよう支援する、というような方法は取れなかったのでしょうか。

結局、厚生労働省(第三者委員会)が言っていたのは絵に描いた餅であり、小規模事業者を支援しながら、地域に密着したきめの細かいサービスを育てていく気はないのだな、とがっかりしました。

コムスン撤退で介護業界が変わるかと思いましたが、少なくとも業界の機構に大きな変革は期待できそうにありません。とても残念です。

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