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コムスンの介護事業譲渡について考える(2ページ目)

介護事業から撤退するコムスンの事業譲渡先が決まりました。施設介護事業はニチイ学館に、在宅介護はニチイ学館を含む大手3社が30都道府県の事業を引き継ぎます。はたしてこれで良かったのか? 考えてみます。

執筆者:宮下 公美子

残った施設事業はどうなるのか?

コムスンの施設事業は、ニチイ学館への譲渡が決まった「コムスンのほほえみ」「コムスンのきらめき」「コムスンホーム」の3類型以外に、コムスンブランドでは、高級有料老人ホーム「コムスンガーデン」と富裕層をターゲットにした「超」高級有料老人ホーム「バーリントンハウス」、また、傘下のクリスタル介護施設センター運営の有料老人ホーム、日本シルバーサービス運営の有料老人ホーム(桜湯園)もあります。

しかし、「コムスンのほほえみ」「コムスンのきらめき」「コムスンホーム」以外の譲渡は決まっていません。施設介護事業の譲り受けに意欲を見せていた外食産業のワタミも、「コムスン傘下の会社が運営する施設には関心が低く、積極的には名乗りを上げない」とのこと。先行きは不透明です。

これについても、首をかしげたくなります。
ニチイ学館が譲り受けた施設3類型は、細かくは把握していませんが、事業形態からすると入居率も高く、安定して運営されている施設だと思います。いわば、お買い得の施設。売りやすいところから先に売ってしまっては、残された施設はどうなるのか。たとえば、高額の入居一時金が必要なコムスンガーデンやバーリントンハウスは、前述の3類型と同等の入居率、利益率のところばかりではないはずです。

また、桜湯園を運営する日本シルバーサービスは、2006年7月にコムスンの傘下に入り、まだ1年あまりしかたっていません。それなのに、また経営母体が変わるという非常に不安定な経営状態を余儀なくされます。

こうした施設こそ、早く譲渡先を見つけて、入居している方や現場の職員のかたの不安を取り除くべきではなかったのか。どういう意図で、このような譲渡方法にしたのか非常に疑問に思います。

※2007年9月8日加筆
2007年9月7日の日経新聞夕刊に、ニチイ学館が桜湯園を運営する日本シルバーサービスとデイサービス運営のコムスン関東も買収、という記事が掲載されました。日本シルバーサービスはこれで落ち着いて経営、そして介護できる体制が整うといいのですが。ちなみに、これでニチイ学館は施設介護でも最大手となったそうです。それは果たして業界にとっていいことなのか……疑問です。

>>次のページは【結局、大手だけに任せたいのか?】
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