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コムスンの介護事業譲渡について考える

介護事業から撤退するコムスンの事業譲渡先が決まりました。施設介護事業はニチイ学館に、在宅介護はニチイ学館を含む大手3社が30都道府県の事業を引き継ぎます。はたしてこれで良かったのか? 考えてみます。

執筆者:宮下 公美子

介護事業から撤退するコムスンの事業の譲渡先が決まりました。施設介護事業はニチイ学館に譲渡され、在宅介護は16法人に分割譲渡されますが、ニチイ学館を含む大手3社が30都道府県の事業を引き継ぎます。また、ニチイ学館に譲渡されることが決まった施設介護事業は、グループホーム「コムスンのほほえみ」、有料老人ホーム「コムスンのきらめき」と「コムスンホーム」というコムスンブランドの施設だけです。はたしてこれで良かったのでしょうか。介護業界は今後、変わっていくのでしょうか。考えてみます。

◆INDEX◆
1P目>>【施設事業実績少ないニチイへの譲渡】
2P目>>【残った施設事業はどうなるのか?】
3P目>>【結局、大手だけに任せたいのか?】

施設事業実績少ないニチイへの譲渡

当初、ニチイ学館が積極的といわれていたのは、在宅介護事業の引き受け。施設介護事業の引き受けに関しては「運営ノウハウがない」として、消極的と言われていました。なにしろ、4つのグループホームしか施設運営実績がないからです。またニチイ学館は、2007年4月にコムスン、ジャパンケアサービスとともに不正請求による業務改善命令を受けたことも、まだ記憶に新しいですよね。

ニチイ学館
在宅介護事業の譲り受けを希望していたニチイ学館。施設介護事業引き受けは、ニチイ学館にとっても果たして吉と言えるのか?
早くから、譲渡先としてニチイ学館の名前が挙がっていましたが、こうしたことから、私は譲渡先→ニチイ学館という報道には非常に違和感を持っていました。しかしやはり報道どおり、コムスンなきあと介護事業最大手となるニチイ学館へ施設200超、在宅介護5府県という大規模譲渡。

譲渡先に決めた理由として、譲渡先の審査・選定を行った第三者委員会は、すべての都道府県で介護事業を展開していること、財務基盤が安定していること、従業員の雇用確保やサービス継続能力が他社に比べて高いことなどを挙げ、「総合力で決めた」(堀田力委員長)としています。

第三者委員会は、ニチイ学館の不正請求については、その後の是正で問題なし、としているのですが、なにしろ最大手企業です。是正すればそれで万事問題なし、というのは何だかずいぶん甘いなぁという気がします。また、コムスンの撤退が決まったときには「介護事業にガリバーはいらない」という声が飛び交った気がするのですが、結局、これもなし崩しですね。

指定取り消し通知後の6~7月で、在宅サービスは利用者が約1割、約6400人が利用を中止し、ヘルパー約3500人が退職したそうですから、とにかく早期決着しないと、という意向が強かったのかもしれません。

これが拙速でなければいいのですが。
もちろん、今のニチイ学館にそういう可能性はないと思いますが、万一、また連座制適用→撤退などという事態が起きたら、もはや介護保険サービスは成り立たなくなるのではないかと恐怖しています。

>>次は【残った施設事業はどうなるのか?】
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