幸せとは何で決まるのか
この本のプロローグにはこんなことが書いてあります。障害は不幸ではない。
健康な人に幸福な人と不幸な人がいるように、
障害があってもそれは同じ。
幸福にもなるし、不幸にもなる。
障害が不幸のモトということは絶対にない。
私は今、実感を持って、そう思う。
きれいごとじゃないか、と思う人もいるでしょう。
私も、最初はそう思いました。
しかし、著者が障害を持つ子どもたちと暮らす日々を楽しむ様子を読むうちに、人の幸せとは何で決まるのかを改めて考えてしまいました。
健常児を育てていても、親の思い通りにならない、子どもの言動には悩まされるものです。この子はどうしてこんなに手がかかるのだろう、と一度も感じたことがない親は、あまりいないのではないかと思います。この本を読んでいて感じるのは、そういう点では障害児も健常児も変わらないのではないか、ということ。もちろん、健常児よりたいへんなことは多いことと思います。
しかし、健常児と比較せずに、障害児だけを見つめていたら?
障害児だからたいへんだ、とは感じないかもしれません。
この著者は、それをとてもよくわかっている人だと思いました。幸せにはいろいろな形があり、そばにある幸せをきちんと感じ取ること。その大切さを教えてくれます。
起こった出来事を、過大にでも過小にでもなく、ありのままに受け止める。そして、時にはその出来事をおもしろがり、時には嘆いたとしても、嘆き続けるのではなくいつかは顔を上げて歩いていく。そんな姿勢は、生きていく上で誰もが身につけたいスキルではないかと思いました。
障害児のこと、障害児の家族のことを理解するためにだけでなく、自分自身の心の有り様を見直す意味でも、ぜひ手にとり、読んでいただきたい本です。
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