燃えつきないためには?
人に支えてもらわなければ自分で自分を支えられない人と、人に頼りたいという他者を支えることで自分自身を支えている人。まさに「人」という字のような関係が共依存。まずは、前項で書いたような共依存的な傾向が、自分にないかどうかを振り返ってみることです。そして、共依存的な傾向があると感じたら、なぜ、そうした傾向が自分自身に身についたのかを、カウンセラーの力などを借りて探り、原因を突き止めて手当をすることが必要です。仲が悪い両親のもとで、二人の顔色を見ながら育った。障害のある兄弟がいて、自分はわがままを言ったり問題を起こしたりできずにすべてを我慢した。アルコール依存の親への対応に追われるもう一方の親を、励まし、助けることが自分の役目だと思っていた。100点を取ったらほめてくれるなど、条件付きで愛情を示す両親の元で育った。
いろいろなケースがあると思います。
そこで置き去りにされてきたつらい、悲しい、苦しい思いを吐きだし、苦労した自分自身を抱きしめてあげることで、まず、自分を癒すことが第一歩です。この作業をしないと、似たような問題を抱えた対象者と接すると、自分の問題と重なり、境界線が引きにくくなるのです。
共依存の問題がない、あるいはクリアした人であれば、1ページ目に書いた特徴を見直して、燃えつきに陥らない姿勢を考えてみましょう。
- 仕事に理想を持ち、やりがいを感じている
→仕事の理想を現実の中でうまく折り合いを付けて実現させる - 誠意を持って仕事に取り組んでいる
→誠意がいつも相手に伝わるとは限らないことを理解しておく - 周囲から頼られており、その信頼、期待に応えようという気持ちが強い
→周囲の信頼、期待に応える努力はするが、応えられないことがあっても自分を責めない - 私生活を犠牲にしても、仕事に打ち込む
→気分転換や休息できるだけの私生活の時間をきちんと確保する - 人の援助は上手だが、人から心配されたり、助けてもらったりするのが苦手
→人からの援助を上手に受ける - 自分の仕事は自分にしかできない、人には任せられないと思っている
→仕事は誰がやっていいし、自分がいなくても、最終的にはなんとかなることを自覚する - 援助の対象者の問題を対象者自身に解決させるのではなく、自分の力で解決しようとする
→対象者には問題を解決する力があることを信じ、解決のための支援に徹する - 問題解決のために、自分のシナリオどおりに対象者を動かそうとする
→対象者を自分の思い通りにコントロールしない - 他者は自分を理解していないと思っている
→他者に理解してもらえるよう、気持ちや状況を周囲に伝える - 自分が心身ともにどれだけ疲れているか自覚できていない
→自分自身の心身の状況に常に気を配る - 自分自身を大切にしていない
→休みを取る、カウンセリングやスーパーバイズを受けるなど、意識的に自分自身のケアをする
他者にエネルギーを注ぐ対人援助職は、エネルギーを補給しなければ枯渇して燃えつきます。自分のエネルギー状態を常に意識し、同僚と連携するなどエネルギーが枯渇しないよう気をつけ、折に触れて補給してほしい。そして、あまりきまじめに仕事に取り組みすぎないよう意識し、時には鈍感力を発揮しながら、対人援助に取り組んでいただきたいと思います。
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関連サイト
おすすめ書籍「仕事で燃えつきないために―対人援助職のメンタルヘルスケア」 (水澤都加佐著)
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