■施設勤務の特徴は?
【多人数を介護する】
現在の施設の人員配置基準は1:3。入所者100人に対して、介護職、看護職合わせて34人という体制です。これだけを聞くと意外と多いように思えますが、実際は3交替制+夜勤というシフト勤務制がほとんどですから、昼間の時間帯で介護職1人が担当時間の間、10~14人程度の入所者の世話をするという状況。
こうして多人数を介護することで、いろいろな介護度、タイプ、状態の入所者を見ることができて学ぶことが多いのは、大きなメリット。また、日々、大勢を繰り返し介護することで、ある程度以上の介護スキルは確実に身に付きます。それに、たとえ相性の悪い入所者がいたとしても、大勢の中の一人と思えば、それほど気にならないかもしれません。
しかし、大人数を相手にしているため、どうしても時間に追われがちになってしまうのがデメリット。今も施設は個別介護より一斉介護が多いもの。食べたくなくてもこの時間にはご飯、食事のあとはしたくてもしたくなくてもトイレ、入浴の時間はお風呂場の入口に車イスの行列、というように、システムで動いていくのは、その人らしく暮らす支援をする、という考え方からは遠く、介護者によっては大きなストレスを感じるかもしれません。
また施設によっては、入浴や行事があると職員がそちらにとられて、1人で1フロアの30~40人を見ることになるケースも。こうなると、ケアをする以前の問題で、いかに事故を防ぐか、という最低レベルの課題をクリアするのが精一杯かも。これはかなり大きなデメリットですね。
【同僚と共に働く】
複数の同僚と一緒にケアにあたる施設では、それぞれの介護のやり方の違いを見ることができるし、その場で先輩から指導もしてもらえて学ぶものが多い、というのを多くの人がメリットだと言います。わからないことがあったときや、対応に困ったときなど、同僚にすぐ聞いて対処できるので、介護初心者でも安心です。
しかし私はむしろ、施設のメリットは、介護技術より、対応の難しい入所者への声掛けといった、数をこなせば身に付く、というものではない介護技術を、同僚のやり方から学べることではないかと思います。たとえば、自分が話しかけても答えてくれない入所者に、先輩が話しかけるとちゃんと答えてくれる。それはなぜかを、間近で見て学べるのは施設ならではですよね。
また、複数で複数を介護するので、突発的に休まなければならないときも、1対1の在宅よりはカバーしやすいと言います。もちろん、休めば他の出勤者に大きなしわ寄せがいくことにはなりますが……。
一方、デメリットと言えば、多人数で介護するために、人によって介護ポリシーのばらつきが生じて、ストレスを感じる場面もあると思います。また、どこの職場でもあることですが、一人で働く在宅と違い、ずるをする人、怠ける人、わがままな人など、様々なタイプの人と一緒に働くストレスを避けられないのは、デメリットかもしれません。
>>最後は【24時間3交替+夜勤ありの勤務】【各施設ごとに介護ポリシーがある】