介護・福祉業界で働く・転職する/介護・福祉業界の仕事

ホームヘルパーの仕事上の悩みって?(3ページ目)

ホームヘルパーは仕事の上でどんな問題に直面し、悩むことが多いのか。2002年、(株)ヘルスケア総合政策研究所が行った調査報告書のコメントを参考に、ホームヘルパーが抱える悩みを考えてみます。

執筆者:宮下 公美子

■家族の利用者に対する介護姿勢への反発■

「痴呆老人の閉じこめ、介護放棄など、介護職として家族の行為が納得できないのに強く言えない」(正規職員・30代・女性)
「実の息子から暴力を振るわれている利用者がいます。(中略)これ以上エスカレートしないようにするためにも、早急に対処する必要があると思われます」(パート・40代・女性)


 ヘルパー講座を受講し、訪問介護の実習に行ったとき、利用者につらく当たる家族がいる家庭を訪問しました。ことあるごとに暴言を吐く様子を目の当たりにし、かなりとまどったのですが、担当のヘルパーさんは「利用者さんも大切だけど、家族の気持ちや言うことも大切にしないと、結局、私がいないときに利用者さんがつらい思いをすることになるから」と、上手に間をとっていました。

また、ヘルパー講座の授業では、利用者から家族に対する不満を聞かされて気の毒に思ったヘルパーが、ちょっと家族に意見したがために、利用者をもっと悪い状況に追いやることになったケースも聞かされました。

不自由な思い、悲しい思いをしている利用者を見るのはつらい。なんとかしてあげたいと思うのは自然な気持ちだと思います。しかし、ヘルパーはあくまでも第三者。家族には家族なりの言い分、考えがあるわけで、利用者の介護の責任を負える立場にないヘルパーが、意見を求められてもいないのに口出しする権利はないのです。できる範囲で快適な環境を整え、ヘルパーがいる時だけでも楽しく過ごしてもらう。介護のプロとして、そんな考え方で仕事に望むべきなのでしょうね。

■事業者への不信■

「私の勤務している事業所は二重帳簿を作成しています。訪問していない利用者宅からも請求しています。利用者は会社を全面的に信頼しているのでまだ気づいていません。(中略)私は登録型ヘルパーなので、見て見ぬふりをしていますが、この問題が表面化する前にいまの会社を辞めようと思っています」(登録型・40代・女性)

これはまいります。いやですねー。実際に二重帳簿を作らされているケアマネジャーはもっとたまらないでしょうね。以前も不正を強いられたケアマネが、不正は辞めてくれと言っても聞き入れてもらえず、しかし、年齢的に再就職が難しいことから内部告発もできず、ズルズルと不正を続けてしまった、というケースがありましたね。

内部告発をすれば、職を追われることを覚悟しなくてはならないケースが多いため、この方のように、見て見ぬフリで転職、という人が多いかも知れません。しかし、せめて転職が決まったら、匿名でいいから行政に告発してほしいですね。

それより何より、厚生労働省に不正ができない仕組みを早く作ってほしいものです。

現場で奮闘するヘルパーは、このほかにも、医療行為、性の介助、ヘルパーの質のばらつき、ケアマネジャーの指示の不徹底など、悩みは尽きません。これからヘルパーの仕事に就こうという方は、こうした現実も踏まえたうえで決断してくださいね
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