■家族の利用者に対する介護姿勢への反発■
「痴呆老人の閉じこめ、介護放棄など、介護職として家族の行為が納得できないのに強く言えない」(正規職員・30代・女性)
「実の息子から暴力を振るわれている利用者がいます。(中略)これ以上エスカレートしないようにするためにも、早急に対処する必要があると思われます」(パート・40代・女性)
ヘルパー講座を受講し、訪問介護の実習に行ったとき、利用者につらく当たる家族がいる家庭を訪問しました。ことあるごとに暴言を吐く様子を目の当たりにし、かなりとまどったのですが、担当のヘルパーさんは「利用者さんも大切だけど、家族の気持ちや言うことも大切にしないと、結局、私がいないときに利用者さんがつらい思いをすることになるから」と、上手に間をとっていました。
また、ヘルパー講座の授業では、利用者から家族に対する不満を聞かされて気の毒に思ったヘルパーが、ちょっと家族に意見したがために、利用者をもっと悪い状況に追いやることになったケースも聞かされました。
不自由な思い、悲しい思いをしている利用者を見るのはつらい。なんとかしてあげたいと思うのは自然な気持ちだと思います。しかし、ヘルパーはあくまでも第三者。家族には家族なりの言い分、考えがあるわけで、利用者の介護の責任を負える立場にないヘルパーが、意見を求められてもいないのに口出しする権利はないのです。できる範囲で快適な環境を整え、ヘルパーがいる時だけでも楽しく過ごしてもらう。介護のプロとして、そんな考え方で仕事に望むべきなのでしょうね。
■事業者への不信■
「私の勤務している事業所は二重帳簿を作成しています。訪問していない利用者宅からも請求しています。利用者は会社を全面的に信頼しているのでまだ気づいていません。(中略)私は登録型ヘルパーなので、見て見ぬふりをしていますが、この問題が表面化する前にいまの会社を辞めようと思っています」(登録型・40代・女性)
これはまいります。いやですねー。実際に二重帳簿を作らされているケアマネジャーはもっとたまらないでしょうね。以前も不正を強いられたケアマネが、不正は辞めてくれと言っても聞き入れてもらえず、しかし、年齢的に再就職が難しいことから内部告発もできず、ズルズルと不正を続けてしまった、というケースがありましたね。
内部告発をすれば、職を追われることを覚悟しなくてはならないケースが多いため、この方のように、見て見ぬフリで転職、という人が多いかも知れません。しかし、せめて転職が決まったら、匿名でいいから行政に告発してほしいですね。
それより何より、厚生労働省に不正ができない仕組みを早く作ってほしいものです。
現場で奮闘するヘルパーは、このほかにも、医療行為、性の介助、ヘルパーの質のばらつき、ケアマネジャーの指示の不徹底など、悩みは尽きません。これからヘルパーの仕事に就こうという方は、こうした現実も踏まえたうえで決断してくださいね
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