2007年のコムスン事件を契機に、介護保険サービスは「量」から「質」の時代にシフトしたと言われています。今後、介護職の社会的地位を上げていくためにも、サービスの質の向上は非常に重要な課題だと私は思っています。そこでこれからガイド記事で、「介護サービスの質の向上」をテーマにした記事をシリーズで展開していきたいと考えています。

シリーズ第1回目で取り上げたのは、介護保険サービスの質の向上に取り組む第三者機関、国民健康保険団体連合会。東京都国民健康保険団体連合会での取り組みを取材しました。

苦情があった事業者を裁くわけではない

国民健康保険団体連合会(以下、国保連と表記)と聞くと、介護報酬の審査支払業務を思い浮かべるかたが多いかもしれません。各都道府県に1つずつある国保連では、この審査支払業務に加えて、介護保険事業者に対して「必要な指導及び助言」を行うことが、介護保険法第176条に定められています。

国保連人物
介護福祉部介護相談指導課長の森高登志夫さんと介護相談窓口担当係長の高橋篤子さん。管理職、係長である2人も事業所に赴き、調査や指導を行うのだという
本来、苦情は事業者と利用者との話し合いで解決できるのが一番です。しかし、すべての苦情が当事者間でスムーズに解決できるわけではありません。そこで第三者機関である国保連が、苦情申立を受けて事業者を調査し、必要な指導や助言を行っているわけです。

といっても、国保連の苦情対応の目的は、苦情の調停をすることではなく、また、苦情に関わる事実関係を明らかにすることでもありません。「目的は、利用者の権利を守ることと、介護保険サービスの質の向上を図ること。確かに利用者の立場に立って苦情対応を行いますが、決して苦情のあった事業者を裁くために調査や指導をしているのではないのです」というのは、東京都国民健康保険団体連合会介護福祉部介護相談指導課長の森高登志夫さん。国保連は、事業者を上から一方的に指導する立場ではないというわけです。

「苦情が発生するには、当然、何らかの原因があります。事業者がどれほど利用者対応に心を砕いていても、苦情が起こってしまうことはあります。では、どこをどうすれば苦情を防ぐことができたのか。それを事業者と一緒に考えていくのが国保連の苦情対応なのです」と、介護相談窓口担当係長の高橋篤子さんも話してくれました。