コンサルタントで働く/コンサルタントの仕事

コンサルタント流「雑誌の読み方」(2ページ目)

コンサルタントは雑誌から情報を得るだけではなく、起った現象の影に隠れている本当の問題点をあぶり出そうとします。コンサルタント流の、本質をついた雑誌の読み方を考えてみましょう。

執筆者:大石 哲之

ビジネスやプロジェクトに役立つところを見つける

日経ビジネスの人気連載に「敗軍の将、兵を語る」というのがあります。
日経ビジネスを読むときは、私はこのコラムは毎回読むようにしています。
これは企業の不祥事や経営悪化などで引責辞任した元トップの失敗談です。
ライブドアの堀江元社長などが登場した回もありました。
失敗・不祥事の張本人にインタビューするのですから、なかなかすごい記事です。
ビジネスやプロジェクトに役立つところを見つけようと考えるとき、つい成功事例を探しがちですが、実際にはむしろ失敗事例のほうが、役にたつことが多いといえます。

成功事例というのは、それほど参考になることが少ないのです。
なぜかというと、成功というのは、戦略、市場、勢いなどの要素が複雑に絡まって、とくにタイミングが重要になってくることもあります。狙って成功するのは難しく、いろいろな試行錯誤のなかから、タイミングよく成功ができたケースのほうが多いといえます。とくに新商品開発などはそうでしょうか。

その成功を、後知恵で検証してみても、それを他人が再現するというのは難しい一方で、失敗事例というのは、一定の共通点があります。
これをしたら「ほぼ失敗する」というポイントがあるといえます。

野球で考えても、「ホームランを打つ方法」は共通するものを見出すのは難しいですが、「ボール球を打ったらヒットにならない」というのはほぼ共通す
るNGです。

失敗本を買おう

私は、失敗本があると、必ず買っています。
『社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由』板倉 雄一郎
『追われ者』松島庸

この2冊は、失敗本の中でも秀逸でした。
ちょうどネットベンチャーブームで、華々しく会社が登場して、幾つかが消えていった時期を総括するような本で、自分の会社を持つ私としても、とてもリアリティのある話でした。

「敗軍の将、兵を語る」に相当する、失敗談で「動かないコンピュータ」というのがあります。これは、日経コンピュータに連載している失敗特集です。
「動かないコンピューター ― 情報システムに見る失敗の研究」という形で、単行本にもなっているので、まとめて読むのに便利です。
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