最大控除額はどちらも変わらない
見比べると分かるように、大きな違いは控除期間が10年から15年になったことと、期間延長に伴い各適用年の控除率が変更になっただけで、最大控除額はどちらも変わっていない点は気をつけなければなりません。すべての人にとって、必ずしも新制度が有利であるとは限らないのです。しかし、だからといって「どちらでもいい」というわけでもありません。返済期間や返済方法によっては、還付額に「差」が生じてくるからです。そこで、どちらを選ぶのが有利なのか、想定されるケースをもとにその判断基準を探ってみました。
<ケース1> 2人そろってローンを組んでいる共働き夫婦の場合
ご主人と奥様で2人そろって住宅ローンを組んでいる場合、出産や退職などで一時的にせよ、奥様の収入が途絶えることが考えられます。その際、所得がゼロになるということは、当然、適用期間中であってもローン減税額もゼロとなるため、無収入期間は当該制度の恩恵を受けることができなくなります。そこで、キャリアプランや家族計画(出産予定)が描けるのであれば、育児休暇や退職のタイミングを見計らって、どちらが有利になるか判断することが必要になってきます。
<ケース2> 転勤族の場合
続いて、全国に支店なり工場があり、一定周期で転勤を繰り返す「転勤族」の方も同様の考え方が当てはまります。家族全員でマイホームから引っ越してしまうと、非居住期間は住宅ローン減税が受けられないよう取り決められています。適用条件に「引き続き居住していること」とあるためです。「空き家」「賃貸」の別は問いません。
本制度の創設当初は、一度転勤してしまうと転勤から戻ってもローン減税は再適用(復活)されない決まりでした。ところが、2003年度の改正で再適用が認められるようになり、帰宅後は引き続き恩恵が受けられるようになっています。従って、転勤のタイミングや転勤期間が予想できる方は、「再適用」の制度を視野に入れ、どちらが好都合か検討してみるといいでしょう。
なお、ご主人が単身赴任する場合、ローン減税は途絶えません。引き続き恩恵を受けられます。“家族全員”で引っ越す場合のみ該当しますので、お間違えのないように!
<ケース3> 「繰り上げ返済」積極派の場合
さらに、繰り上げ返済を頻繁に予定している方も注意が必要です。ご存じのように“期間短縮型”の繰り上げ返済を行うと、「返済期間」も「ローン残高」も縮減します。本来であれば喜ばしいことなのですが、住宅ローン減税は還付を受けられる適用期間が長いほど、また、ローン残高が多いほど減税額も多くなる仕組みです。もちろん、一概にはいえませんが、原則はそういう制度ですので、繰り上げ返済による効果とローン減税の効果、どちらが有利かを慎重に見極めた上で、従来のローン減税制度と新制度の優劣を判断することが求められます。
実際は、言葉で言うほど簡単に答えは出ないかもしれません。シミュレーションするなり、専門家に相談するのも一法でしょう。
申告時期は来年以降
最後に、確定申告の時期を確認しておきましょう。従来の制度、新制度どちらにしても
・2007年に入居した方の確定申告時期は2008年2月~ ・2008年に入居した方の確定申告時期は2009年2月~ |
です。来年以降の話ですので、じっくりと検討の上、答えを出していただいて問題ありません。
【住宅ローン減税2009年 確定申告に関する記事】
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