プロフィール
佐藤綾子(さとうあやこ):日本大学芸術学部研究所教授 博士(パフォーマンス学・心理学)
1980年、日本に初めて「日常生活における自己表現」の意味での社会学的言葉として「パフォーマンス」の語を導入。1989年、産学協同体制による日本人の自己表現研究のための「国際パフォーマンス協会」を設立する。著書は、『元気心理学!仕事も恋もうまくいくステキな習慣』(PHP研究所)、『キレない心を育てる-親と子の自己表現37のコツ』(講談社)など128冊。
「反射の法則」を理解しよう
ガイド・泉:前回に引き続き、先生にお話を伺いたいと思います。今回は、職場にいがちな、すぐにキレる上司、部下にどう対処していったらいいか、についてお話を聞かせてください。
佐藤さん:キレる上司に対して自分もキレ返すことができれば楽なんでしょうけど、実際はそういうわけにはいかない。だから、大変なんですよね。一方、ちょっと注意したらすぐにキレる部下の存在もつらいものです。
泉:特に相手が上司の場合、先生もおっしゃるようにキレ返すわけにはいかないので、本当にストレスがたまってしまいます。
佐藤さん:そうですね。ですから、ここでは、キレる上司をうまくかわすにはどうしたらいいかを考えないといけません。そのひとつが、「反射の法則」です。
泉:反射の法則…、ですか?
佐藤さん:ええ。これは、相手のことばをリピートすることで、相手に怒りの吐け口を作ってあげるという方法です。例えば、「どうしてこんな簡単な書類がきちんと書けないんだ」と言われたとします。その時に、相手が言った言葉を繰り返し、「簡単な書類が書けないんですよね。すいません」と答える。すると、上司には、自分の言ったことを相手がきちんと聞いたという満足感が生まれる。そしてこれが怒りのはけ口になります。
泉:なるほど。言われた言葉を繰り返すだけで、相手の気持ちが収まるんですね。
次のページでは、もう一つの対処法「"I"(アイ)メッセージへの転換」について教えていただきます。