女性の転職/女性の再就職・職場復帰

家庭内格差、夫婦の場合~インタビュー~(3ページ目)

最近、「格差」という言葉をよく耳にしますが、これが家庭内、さらには夫婦の間に存在し、それが妻の心を悩ませているとう興味深いお話をうかがってきました。

執筆者:川崎 あゆみ

充実した表情"
自分がゼロの存在であるという考えは、あまりに辛い。でも、それをせめて1にしようと自分で努力した篠塚さんを素晴らしいと思います。

ゼロが1になった。その事実が嬉しい

川崎:かねてから篠塚さんの心を悩ましていた「夫婦間の格差」。お仕事を始めて3ヵ月とのことですが、何か変化はありましたか?

篠塚:私がパートで得る収入なんて、夫が稼いできてくれる収入に比べたら、微々たるものです。でも、立場として、100:0だったのが、100:1になれたと感じます。

川崎:数字で表すと、確かにまだまだ大きな開きがありますね。でも、篠塚さんの精神状態は、全然違いますか?

篠塚:全然違います。しかも、自分の中でこれはまだ一歩を踏み出したところという気持ちでいるので、これからパートに出る日数を増やして、最終的には正社員で働きたいと思っています。

通勤"
仕事を始めたら始めたで、大変なことはたくさん出てきます。今度は、それが不満にならないように。

格差を感じていた夫に感謝の気持ちさえ

川崎:なるほど、「小さな一歩でも“動き出した”」という事実が大きいのですね。

篠塚:働き始めるまでは、年齢で落とされるんじゃないかとか、昔取った資格なんて今でも通用するんだろうかとか、いろいろ心配なことはたくさんありましたが、実際にハローワークに行ってみるとたくさんの仕事があって、まだまだ「求められている」という感じがしてワクワクしました。

川崎:そのほかには、何か気持ちの変化はありましたか?

篠塚:仕事がある日は、自宅最寄り駅から約30分ほど満員電車に乗って通勤するのですが、これがギュウギュウ詰め。週3日のこととはいえ、本当に大変なんです。でも夫は、こんな過酷な状況の中で、家族のために毎日仕事に行ってくれているんだなと思ったら、心から感謝したい気持ちになりました。

それと、当たりちらしていた子ども達ですが、子ども達が勉強やピアノ、スポーツをしている姿を見て、「私もがんばろう」と素直に思えるようになって、「お母さんもがんばるね」と言えるようになりました。こんな気持ちになれたことも大きな収穫でした。

川崎:実際のところ、篠塚さんの「もやもや感」は、ご主人との収入差が一番の原因ではなかったようですね。これから働く日数をじょじょに増やして正社員を目指していかれるとか。少しずつ希望が叶うといいですね。応援していますので、がんばってくださいね!

さて、「夫婦間の格差」に悩み、お仕事再開をしたケースをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。 篠塚さんの場合、雑誌を読んでいての偶然とは言え、「もやもやした気持ち」の原因がわかったこと、さらに、どうすればその焦りやもやもや感が解消されるのか、ご自分である程度わかっていらしたことが良かったと思います。また、仕事再開を視野に入れた情報収集と勉強も再就職に多いに役に立ったと思われます。

でも、お子さんにも当たってしまうほど、焦りを感じていらしたというお話は、決して人ごとではないし、このような方は、もしかしたら大勢いらっしゃるのではないのかなと思いました。

家事や育児に専念されている方が、必ずしも焦りを感じているわけではないと思います。でももし、篠塚さんのような「もやもやした気持ち」に心当たりのある方は、お仕事再開を考えてみてはいかがでしょうか。あるいは、カウンセリングを受けられると、解決の糸口が見つかるかもしれませんよ。

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