女性の転職/女性の再就職・職場復帰

きっかけは、時給620円のパートだった(3ページ目)

日経WOMANが選ぶ”ウーマン・オブ・ザ・イヤー”が、今年も発表になりました。受賞者のお1人、横井千香子さんは、パートで入った会社で取締役に抜擢された女性。一体、どんな女性なのでしょう。

執筆者:川崎 あゆみ

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54歳にして、MBA取得を決意。仕事を続けながら学んだ「組織論・危機管理論」

「娘に恥じないように生きたい」と一念発起

摩優さん亡き後、「人の役に立ちたい」と横井さんは、里親のボランティア活動を始めました。その活動や仕事に生かせるのではとの思いと、それにも増して、「真摯に生きた娘に恥じない生き方をしたい」と立教大学大学院で組織論を学ぶことにしました。02年4月、54歳での進学でした。

仕事を続けながら大学院には、2年間通いました。組織論・危機管理論を学びながら、「働くことや生きることの意義」を研究テーマにしていたそうです。 学んだことによって、「部下に方針を的確に伝えることや、常に危機を想定することの重要性」など部下の育成法などを身につけ、また大手企業トップらとの人脈も広がったといいます。 大学院の修了間際の2月に突然の辞令により、パート社員のまま部長職に昇進し、その後経営学修士(MBA)を取得。

修了後も、研修制度の改革や、「お客様に優しいコールセンター」体制を作り上げるのに大きく貢献しました。顧客に対して、きめ細やかなアプローチをするようにオペレーターを教育した結果、社内03年度「未入金案内業務コンテスト」で約束取得率1位に輝き、さらにクレジット本部MVPも受賞しました。

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昇進するにつれて、責任はどんどん重くなっても、「勉強することが増えるのが嬉しい」と努力を続けた横井さん。

その後もどんどん昇進。やがて・・・

さらに、その3ヵ月後、AC(Auto Call)センター所長に昇進したことから、パートから嘱託社員になりました。これまでの役職者は、正社員が常でしたが、正社員になると転勤があることから、横井さんは、家庭との両立を考えて、転勤のない嘱託社員を選んだそうです。

さらに快進撃は続きます。その後、58歳で電話業務を統括する「プロモーションセンター長」に就任し、電話による営業プロモーションの結果、公共料金のカード決済の促進や保険商品の契約件数を前期比約9倍!に伸ばしました。

05年3月には、パート従業員ら約2500人を束ねる現場の最高責任者である電話業務を統括するセンター長に就任。そして06年、58歳で取締役クレジット本部副本部長に就任し、現在に至ります。

キャリア・クリエイト部門入賞の理由は?

今回のウーマン・オブ・ザ・イヤーの選考会では、横井さんのどういう点が評価されたのかをご紹介しましょう。

「転機のたびにギアチェンジをしながら、ステップアップしてきている。これは立派なキャリア形成」(バンダイ社外取締役・エディター 松永真理さん談)

「私が感動したのは、54歳でMBAを取ろうという意欲!年齢じゃないんですね」(ジェイ・ボンド証券 代表取締役社長 斉藤聖美さん談)



横井さんは、1年更新のパートを18年間続けてこられたそうです。家庭と仕事を両立させながら働く、ワーク・ライフ・バランスをうまく取りながら、仕事を続けてきた横井さんは、これから「出産するべき?」「仕事を続けるべき?」と迷う多くの女性にとって、大きな光となるのではないでしょうか。

■摩優さんへの思いを綴った著書『摩優の樹

■参考文献
日経WOMAN
MSN Mainichi Interractive 私のスタイル
立教大学大学院 独立研究科 Social Deigner Vol.3
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