女性の転職/女性の仕事カタログ

花の魅力を伝える フローリスト 【後編】(2ページ目)

女性に人気の高い仕事「フローリスト」。前編に引き続き、必要なスキルや資格の考え方について、ご紹介します。

執筆者:三輪 貴子

芦屋のアトリエでは、陽光がたっぷりと降り注ぎ、色鮮やかなお花たちが出迎えてくれる。

もとは根っこのあるもの ~あるとよいスキル~

お花の資格は取得が盛んだった時期もありましたが、今は落ち着いてきているようです。資格がなくても、お花屋さんをやっていらっしゃるところもありますし、資格をとっても、技術は各個人によって差がありますので、資格があるからお給料がよい、ということもありません。仕事として取り組んでいくのであれば、センスを磨き、知識を得ていくことが大切なのではないかな、と思います。あればよいスキルは、あえて候補をあげるとすると、カラーコーディネートと、グリーンアドバイザー。お花は、きれいに形を作ることが必要ですが、お花あわせや色あわせも大切。理論としてカラーの勉強をされている方は、自信にもつながるのではないかと思います。そしてもう1点、花あわせをするときに、全く性質の違うものを何気なく取り合わせてしまうのと、それぞれの植物の性質を知って取り合わせるのでは、お花への影響も仕上がりも違ってきます。もともとは、その植物にあう環境で根っこを持っていたものです。それぞれの特徴を知っていれば、お花同士の空気の持たせ方などが分かってきます。植物が心地よく感じる空間は、育ててみて、はじめてわかる部分が多いと思います。そういった知識を得るためには、グリーンアドバイザーの資格があれば、活かすことができるのではないでしょうか。「土は好きではないので触らない」ではなく、植物そのもののことを勉強されると、作品の仕上がりにも、よい影響が出てくるのではないかと思います。

お花の先生を目指していらっしゃる方の中には、スクールに通い、その後すぐにお花の先生になられる方もいらっしゃいますが、私は、一度現場を経験されたほうがいいのではないかと思います。例えば、同じバラひとつをとっても、すぐに咲いてしまうものもあれば、つぼみの時間が長い種類もあります。それぞれの特徴によって、ウエディングのブーケに向いているのか、1週間楽しむ活けこみに向いているのかも異なります。スクールで習って身に着くことと現場身につけることには、明らかに違いがあるのです。現場での経験を、根気よく積み重ねていくことで、知識の幅を広げていくことができます。お花の先生を目指していらっしゃるのであれば、プロとして生徒さんのどんな質問にもコンシェルジュのように答えられるよう、現場での実務経験は5年以上積むことが望ましいのではないかと思います。

寒くて、重くて、早くても ~将来性と、メッセージ~

お花の世界では、これから、若くて個性のあるフローリストが、たくさん出てくるのではないでしょうか。一人の「人」として面白いキャラクターのフローリストが出てくれば、「あのフローリストにお願いしよう」と、注文が生まれると思います。そうなると、ただのお買い物のひとつではなく、特別なこととして、お花を買う楽しみが生まれてくるのではないかと思います。

よく、生徒さんから、「お花の仕事がしたい」と相談を受けることがあります。そんなとき、私はいつも正直にお話をしています。朝が早いこと、お花が重く腰を痛める人もいること、手が荒れること、特に冬はとても寒いこと。給料は、一般企業に勤めていらっしゃる方よりも、おそらくかなり下がるであろう、ということも。交通費も全額負担してもらえるケースは少ないのではないでしょうか。

相談にこられた生徒さんには、いろいろマイナスの面についてお話をしますが、それでもやはり最後には「とてもやりがいのある、私にとっては大好きな仕事です。」とお話をさせていただいています。どうしてもやってみたいという方には、その人なりの進んでいかれる「道」があると思いますので、もしも「やる」と決めたのであれば、ぜひがんばっていただきたいですね。



【編集後記】
「がんばってきた自分がかわいそう。身につけたことは、ちゃんと形にしたい。」とても印象的な言葉でした。どんな仕事でも、つらい時期はあります。それを乗り越えることができるかどうかで、その先クオリティの高い仕事ができるようになるかが決まるのでしょう。心が強く、そして穏やかな、ステキな女性でした。これからのご活躍を期待しています。
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