食に関する資格は、国家資格をはじめたくさんあります。その中で、一番自分の「食への思い」を表せる資格はどれでしょう。 |
資格を取得。実際に仕事でどう活かす?
前ページでご紹介したどの資格も食育に関する仕事をするためにどうしても必要な資格ではありません。逆を言うと取得した資格の活かし方は、自分次第。例えば・・・
■自宅で料理教室を開き、料理のレッスンを通して、調理の仕方だけでなく、「食」に対する知識や考え方などを伝えていく。
■資格取得によって知識・理解があるということで、お惣菜など食べ物を扱うスーパーやデパートの部署などに再就職する。
■「食育アドバイザー」などの肩書きで自分で名刺を作成し、フリーランスとして「食」に関するいろんなイベントなどを企画する。「美容」や「健康」をテーマにしたセミナーなども可能性がありそう。
■現在、スーパーなどで仕事をしている方なら、資格取得者の立場で、売り場に関して、または商品に関して、さまざなま提案をしてみる。
一頃注目されたフードコーディネーターは、食に関する全てのビジネスに関わるもので、「食のすきま産業」という人もいるほど。個人的には、食育コーディネーターは、さらにそのすきまに入り込んでいく仕事になるような気がします。でもやはり何よりもミセスの方が強いのは、家庭での料理を作る立場から(そうでない方もいらっしゃるかもしれませんが)の経験、日ごろから感じている疑問、不安など消費者の立場での視点があるということですね。
でもはっきり申し上げて、食に関して詳しい人は山ほどいますし、それこそ「食」に一家言を持つ主婦も大勢いますから、そこで仕事として際立っていくには、フリーで活動する、就職するに関わらず、食育に関して自分なりの視点、切り口など”オリジナリティ”が鍵になってくるのではないでしょうか。また、当然といえば当然ですが、国家資格である、栄養士、管理栄養士、調理師の資格があれば、なお活躍の場は広がりますね。
企業や政府も動き出した「食育」
先日、食品関連会社の菱食が「食育コミュニケーター」の育成に乗り出しているという新聞記事を見ました。内容をご紹介しましょう。「パートの主婦に朝ご飯の効用や栄養学の知識を伝え、これを店頭での販促に生かすという。日本食育コミュニケーション協会の設立にもかかわった菱食では、食育コミュニケーターを育成。食育コミュニケーターとは、「食と健康」について正しい情報を消費者に伝える人のことで、白羽の矢が立ったのが小売のパートの人たち。彼女たちを対象に講座を開き、野菜の多いカレーの作り方を議論するほか、食事バランスの大切さなど栄養学の大切さなど栄養学の知識をどうやって店頭で表現するか、などを教えている。メーカーの担当者や専門家が食育を説くより、同じ主婦が説明した方が客に理解されやすい」
とあります。(日経MJ5月3日号)まさに主婦の視点、経験に期待がかかっているようですね。
最後に、内閣府から出された「食育推進基本計画」(pdf)をご紹介します。ここでは、「危機的状況にある食をめぐる日本の現状において、今までもさまざまな取り組みが行われてきたが、なかなか成果があがっていない。今後平成18年度から22年度までもっと国民運動として取り組み、食育を推進するべく施策を講じていく」とあり、今後の「食育」への関心・意識の高まりは、ますます国をあげて熱を帯びることになるでしょう。
それにしてもこんなにあったんですね、食育関連の資格。記事を書いておきながら何ですが、資格には特にこだわらなくてもいいのかなとも思います。でももし取得するなら「食」は、万人に等しく必要不可欠なことですし、命そのものを作るもの。日常生活の基本的かつ最も大切な部分と言えるでしょう。だからこそ、どの資格なら自分の「食」に対する真摯な「思い」を仕事に表せるかを十分、考えていただきたいと思います。