「急がなきゃ!」少し残業しただけで公立の保育園へのお迎えには間に合わない。 |
代替要員に退職者を活用
短時間制度や育児休暇は、制度があってもなかなか利用しにくいという声が多くあります。それは周囲の人に負担がかかるなど迷惑になるのではと懸念するからですが、最近これらの制度をもっと利用しやすくなるような企業における工夫が見られるようになってきました。資生堂グループは、店頭で接客の仕事についている社員が育児のための短時間勤務制度を利用しやすいように退職した人を代替要員として活用する制度を導入。同じく損保ジャパンは、出産や定年で退職したOB・OGをネットワーク化し、育児休暇や短時間勤務によって不足する人員を補充するという動きがあります。
短時間勤務を利用する人も時間になったら気兼ねなく職場を後にすることができ、また代替要員の人も、それまで身につけた技術や経験を活かして仕事をすることができるという一石二鳥のシステムに、今、多くの企業から注目が集まっています。
育児休暇の条件緩和
先ほど、育児休業の取得を社員が申し出にくいのは、周囲に迷惑がかかると述べましたが、男性の場合は、本人は育児参加をしたくても「男性が育児なんて」というイメージがまだ世間に根強く、周囲の目が気になります。しかし、最近は育児休暇取得しやすい工夫もされ始め、じょじょにではありますが、企業が育休の取得を後押しする風潮が出てきたようです。育児休業の法定期間は、最大1年半。東芝は、なんとそれを3年まで取れる制度を導入しました。また、先述の資生堂は、2005年4月、有給の短期育児休業を連続で2週間取れるようにしました。もともと無給の長期育児休暇制度もありましたが、取得者はどちらかを選べるようになっており、この制度の導入によって11人の男性が短期の育休を利用するなど、成果が上がっているようです。
<その他、育休取得の条件について工夫している企業>
旭化成、松下電器産業、東京海上日動火災保険、ベネッセコーポレーション、みずほフィナンシャルグループ、ソニー(順不同)
また育休明けは、短時間勤務で乗り切らなければなりませんが、対象となる子どもの学齢は通常小学校就学前まで。しかし最近は、小学校入学後にも拡大する企業も増え、アサヒビール、丸紅は、小学校3年生終了までの適用としています。
優れた労働力を確保するためには、育児を理由に退職する女性を少しでもなくす努力を。事業所内保育所は、そのあらわれの1つ。 |
事業所内託児施設
育休を経て職場復帰を果たそうにも、今度は待機児童問題が立ちはだかります。「仕事を再開したくても保育所に入れない!」という悩みを解消する目的で、事業所内に託児所を設置する企業が増えてきました。<事業所内託児所のある企業の例>
日産、ヤマハ発動機、ピジョン、新生銀行、トワール海渡、ロックフィールド、オムロン、おたふくソース(順不同)
退職者を再雇用
先ほど、一旦退職した元社員を短時間勤務利用者の代替要員として活用と紹介しましたが、今度は結婚・出産を機に退職した元職員を再雇用しようという動きが出ています。りそなホールディングは、出産や育児を理由に退職した女性の元職員を再雇用する「ジョブリターン制度」を導入。なんと年齢制限はないそうです。働く意欲があり、即戦力となる元職員を活用に注目が集まっています。また、シャープも出産・育児のために退職する社員の再雇用を保証する制度の導入を決定しています。
制度を整えるだけでなく、制度を利用しやすくするよう企業自ら工夫を凝らす動き、大歓迎ですね。さて次は、厚生労働省が表彰するファミリーフレンドリー企業についてです!>>次ページへ