「今の仕事に向いていないような気がします。どうしたらいいでしょう」
そんな相談を受けたとき、私はまず、こう聞き返します。
「あなたは、その仕事に就いてどれだけたちますか?」
転職している人の場合、前職も現職も仕事の内容がほぼ同じであれば通算の期間を、転職前、後ともに事務職でも、前が一般事務で現在が営業事務であれば、営業事務の経験期間を教えてもらいます。
その答えが「3カ月以内」であれば、私の回答は、「あなたの、向いていないと思うという感覚は正しいはず」となります。
経験期間が3カ月以上ある場合は、「向いていないのかも、と思い始めたのはいつ頃からですか?」と聞き、その仕事をするようになって3カ月たたないうちから向いていないと思っていたのであれば、先ほどと同じように答えます。
そして、今の仕事に就いて3カ月以上たってから「向いていないのかも」と思うようになった人には、「それは思い過ごしだと思う」と答えることがほとんどです。
それだけ? 申し訳ありませんが、それだけです。
その人の仕事がどんなものであり、どんなところで向いていないと感じるかといったことはあまり参考にしません。
今までに、一瞬にして「あ、これは向いてないな」「違うな」と思ったことってありませんか? 遊びでも、学生時代の勉強でも何でもいいです。思い出してみてください。
たとえば、友人に誘われて陶芸教室に行ってみたけれどおもしろいと感じなかったとか、時給に惹かれてやってみたアルバイトの内容が苦痛だったとか。
そういうことって、友だちと一緒だから、まわりの人が親切だからという理由で、3カ月ぐらいは続きます。
でも、結局、3カ月ぐらいで辞めてしまう人が圧倒的に多い。それは、やっぱり、向いていないことだったからだと思います。
逆に言うと、3カ月の間、「向いてないのかも」と感じることなく仕事に取り組めたのであれば、それは「向いていないことではない」のです(「向いている」のでもありません)。
仕事だから、つらいこともあります。うまくいかないときもあります。頑張っても結果が出ないときだってあります。
でも、それは向いていないからじゃない。たまたま、そういうときだというだけです。
次のページでは、「向いている仕事」について考えてみます。