子どもの預け先もしっかり確保。勉強する前には、公園で遊ばせて満足させるなど、佐々木かをりさんがおっしゃっていたリスク管理も万全。 |
どうしても叶えたい思いと子育て
川崎:
学校に通い出してからは、その間、お子さんはどうしましたか?
井ノ迫:
通っていたクラスは週1回の土曜日と平日午後のクラスです。「週に1回なのでお願い!」という感じで夫に預けたり、幼稚園の延長保育などをうまく利用していました。お互いの実家は遠いですし、親戚も近くに住んでいませんでしたから、頼るのは夫だけ。
でも出張でいないときや都合の悪いときや幼稚園が夏休みということもありますので、万が一のときのために、土日預かりもしている保育園と契約して、さらにスクールの近くの保育園にも預けられるように体制を整えていました。また、夜9時まで預かってくれる駅型保育園も、しっかり確保。なるべく夫に、「預からなきゃいけない」っていう負担を感じさせることがないようにしたかったんです。そのために、ある程度お金を使うのは仕方ないと思っていました。
川崎:
そこまでなさったのは、どうしてもやりたいっていう気持ちがあったんですね。
井ノ迫:
絶対にやるっていう気持ちでした。それまでに、翻訳の勉強にお金をかなりかけていたというのもありましたね。ちゃんと元を取らないとみたいな(笑)。でも、友人の中には、子どもを預けてまで主婦が学校に通ったりするのは、かわいそうと言う人もいたんですよ。聞き流してはいましたが、そういう風に言う人を見返したいっていう気持ちも少しはありました。仕事に結びつかなかったら、本当に道楽で終ってしまいますものね。子ども自身は、小さかったのもあるかもしれませんが、預けられるのを嫌がったりしていたわけでは、ありませんでしたし。
川崎:
お子さんが、生まれてからは、仕事をせずに学校に通っていらした。その学費は?
井ノ迫:
出産前に勤めていたときに貯めたお金で行きました。だから夫は文句は言えない(笑)
川崎:
実践的な翻訳ができるようになって、楽しくて仕方ない感じでしたか?
井ノ迫:
楽しい半分、これは大変だっていう感じですね。
川崎:
大変というのは、さきほどの翻訳力の部分ですか?
井ノ迫:
いえ、時間のやりくり、つまり子どもとの時間ですね。これが一番大変でしたね。まだ幼稚園に行く前でしたので、どこに行くにも、私が付き添って行ってあげなくてはいけないですよね。私自身の勉強も、当時は今よりも当然翻訳レベルは低いので、私はもっと勉強に時間を割きたい。でも、子どもには一番手がかかるっていうタイミングで。
「子どもは、可愛いし、とっても大切な存在。でも私は、自分が一番大事」という井ノ迫さん。自分がハッピーな状態でいれば、それが子どもにも必ず伝わるのでしょうね。 |
もしかして、子どもが一番というタイプではない?(笑)
井ノ迫:
ないですね(笑)。私は、自分が一番なんです。子どもを生き甲斐にはしていません。誤解を恐れずに言えば、子どもは、大切な存在ではありますが、それに埋もれることは望んでいません。
子どもは、私が勉強しているときに、寄ってくることはありますが、勉強している時間に嫉妬することもありません。勉強する前に、外に遊びに連れて行っていますので、そんなにつきまとうことはありませんね。先に対策を立ててしまうというか。
私は、性格がもともとドライなのかもしれません。べたべたタイプではないんです。もちろん葛藤は、ありましたけれど、割り切る部分は割り切ってしまうんですね。私の性格もあると思うんですね。子どもに尽くして、尽くしてっていうタイプではないんです。
残念ながら前半は、ここで終了。軽い気持ちで始めた翻訳の勉強とはいえ、相当な努力をされたことが、よくわかりますね。さて、後半では、実際にお仕事を始めた井ノ迫さんのお話をご紹介します。後編へ!