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子育てしながら映像翻訳のプロに 前編(2ページ目)

英語が好き!という方なら、一度は憧れる通訳者・翻訳者。この夢を実現させたのは、井ノ迫純子さん。海外在住経験もなく、子育てをしながら、見事にデビューを果たすまでのお話をうかがってみました。

執筆者:川崎 あゆみ

井ノ迫さん
念願叶って、映像翻訳の勉強スタート。これも、井ノ迫さんの「思い」の強さが呼び寄せた運?

Take Chanceするしかない!


川崎:
東京に引っ越して、すぐ学校に通い始めたのですか?

井ノ迫:
夫の東京転勤が決まったときは、「これで、映像翻訳の勉強ができる!このチャンスを逃してなるまい!」という思いでいっぱいでした。東京に来てから、すぐに映像翻訳のクラスに飛び込みました。

川崎:
念願の映像翻訳のクラス。通い始めて、いかがでしたか?

井ノ迫:
上京後すぐに飛び込んだ学校では、主に字幕を通じて表現力と文章力を養いました。その後、実践的な勉強ができる学校に転校し、そこで即戦力として使えるようなノウハウとか、翻訳業界のマナーであるとかを、しっかり教えてもらいました。ただ、クラスで一緒だった皆さんと私では、積み重ねてきたものが全く違うと感じていまして、もうついていけないかもと思うことは何度もありましたね。

川崎:
「積み重ねてきたもの」とは、何だったんでしょう?具体的に何が違うと感じたのですか?

井ノ迫:
履歴書に書くことが全然違うということですね。何年間アメリカやイギリスに留学していましたとか、帰国子女ですとか。英語の実力を証明するようなTOEICが何点だとか、英検何級だとか、私は一切持っていないんです。TOEICは、受けたことはあるんですが、スコアの有効期限は2年ですから、その時点では、2年以上経っていて、人に言えるものは、何1つありませんでした。そこで初めて「ああ、私は甘かったな」って思ったんです。

川崎:
そのときの英語力を客観的に見るとどれくらいだと思われますか?

井ノ迫:
大阪で翻訳の勉強をし始めたときは、中レベルだったと思います。その後、だんだんチカラがついてきて、東京で映像の勉強したときは、もう少しレベルアップしていたと思いますが。

洋画
映像翻訳の日本語なのだから、本は読まずに映像から学ぶ。ここにも井ノ迫さんの姿勢が表れているように感じました。

井ノ迫さん流のレベルアップのはかり方


川崎:
英語力をつけるのに、学校で学ぶ以外に何か努力されたことは?

井ノ迫:
英語力というよりは、自宅でドキュメンタリーやドラマ、映画を観たりして、向こうの人の考え方とか宗教観などを学びました。私の周りにネイティブは全くいませんので、それらを観て、肌で感じるということをしていました。実は、翻訳に必要なのは英語力だけじゃないっていうのが、その時点では、わかっていたので、英語に限定しないで幅広く吸収しようと心がけていましたね。もちろん、英語力があるのは大前提ですけれど。

川崎:
その日本語力は、どうやって磨きましたか?

井ノ迫:
最初の翻訳学校で、洋画字幕を通じて語彙力をみっちり学び、2つ目の学校でドキュメンタリー番組などを使って文章力などを養いました。シチュエーションによって、使われる言葉も表現も変わりますから、なるべく多くの素材に触れるように努力しました。

川崎:
そのために、本はたくさん読みましたか?

井ノ迫:
本は、あまり読んでいません。映像の言葉ですから、全部映像から吸収しました。実際は、当時は子育てもしていましたから、本を読む時間もなかったという感じですけれど。本って集中しないと読めないので、1回読み出すとほかのことができませんよね。私は、お鍋を火にかけながら、息子のつくろいものをし、そしてCNNを聞くというタイプなんです。

川崎:
確かに、子育て中なら必然的にそうなりますね。学校に行って勉強する以外、家ではどれくらい勉強されていたんですか?

井ノ迫:
1日3時間できればいいほうですね。子どもが寝てからになりますが。

川崎:
映像って言っても、ジャンルがいろいろありますよね。井ノ迫さんは、どの種類の勉強をされたのですか?

井ノ迫:
私が通っていたところは、幅広く教えてくださるところなんですね。ドキュメンタリー、スポーツもの、動物もののナレーションだとか。もっと専門的なものであれば、同時通訳とまではいきませんが、朝原稿をあげて昼までに音入れまでするというのもあります。だから、翻訳とはいえボイストレーニングが必要なジャンルもあるんですよ。私は、向いていないと思うので、授業を取りませんでしたけれど。それは、ネイティブ並みに話せる人がされていたようです。

さて、今度は、翻訳の勉強と子育ての両立について、うかがってみましょう>>次ページへ
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