女性の転職/女性の仕事カタログ

お客様に感動を与える ホテルマン(前編)(2ページ目)

結婚か?仕事か? 仕事をもつ女性なら、一度は悩み迷うそのハザマで、自分を見失わず逆境を乗り越えた女性ホテル支配人をご紹介。キャリアアップの経緯は、業種に関わらず全ての女性の心に染みるお話です。

執筆者:三輪 貴子

神戸を象徴するような雰囲気につつまれたブリティッシュテイストのホテルトアロード 。*写真はロビー。「客室78室の小さなホテルですので、スタッフの顔がわかるような、人間らしさの感じるあたたかなサービスをさせていただきたいと思っています(永末春美支配人)」

チャンスがあるなら、やってみたい ~ホテル支配人への第一歩~

副支配人募集の文字に、「やった!」と思ったのは一瞬のこと。ちょうど30歳の誕生日を迎えたばかりで、自分の将来について悩んでいる時期でもありました。ホテルの仕事を探す傍らで、結婚か、仕事か、心は揺れて悩んでいたのですが、最後に決め手となったのは、「自分は何が好きだったのか、何をしているときが一番満足感を得られたのか。」を自分なりに考えたこと。私の場合はそれが仕事だったのですね。1人である程度生きていける、食べていけるだけのものを稼げる人になりたいと思い、その求人に応募することを決めました。とはいえ、特に優秀な学歴もなく、大した経験もなく、その募集に受かる要素は考える限り思いつきませんでした。友人に相談をしても、無理だろうといわれましたし。(笑)それでも受けてみようと思ったのは、とにかくもう一度ホテルの仕事をしたいと思う気持ちが強かったこと、そして万が一理想と現実のギャップがあったとしても、一度ホテルを離れてみてわかったホテルの魅力、仕事のよさについて強く心に刻まれていましたので、どんなことがあっても乗り越えられる、という自信があったことです。面接の際は、そういった点もPRをしました。そして、服装やメイク、髪型など、ホテルトアロードにあったイメージに自分をプロデュースする工夫もし、久しぶりにホテルの業界誌や新聞に目を通し、採用試験にのぞみました。

その結果、難関を突破し、採用試験は合格。しかも、副支配人ではなく支配人として着任してほしい、との依頼があったのです。「急に副支配人から支配人へ、なんて、この会社大丈夫かしら・・・。」と、そのときは、とても驚きました。英語も苦手でしたし、支配人としての要素は持ち合わせていなかったので、なぜ私が選ばれたのだろうと、不思議に思っていましたが、ホテルの仕事は、一般の仕事のようにいつも求人が出ているわけではありませんので、そこで「支配人はできないから」と断ってしまうと、また一からホテルの仕事を探さなくてはなりません。ホテルトアロードは客室数も少なく、私が理想とする小さなホテルでしたので、もしできるのであれば、どんな勉強や努力をしてでも、やれるチャンスがあればやってみたい。もしそれでダメなら、1ヶ月でクビになっても仕方が無いですし、1ヶ月でも支配人務めることができただけでも思い出になるのではないかな、くらいの気持ちで、お引き受けすることにしました。今思えば、あれが私の新しい第一歩であり、新しい世界のはじまりだったのです。



【編集後記】
永末さんが、一歩一歩確実に前に進んでいかれる「前編」はいかがでしたか? いまは大活躍していらっしゃる永末さんも、悩み、迷った時期があったのですね。「後編」では、ホテルの支配人としてのお仕事、そして、今を悩む女性へ向けて、メッセージをお預かりしています。(後編)も引き続きご覧ください。
[ →→ ] お客様に感動を与える ホテルマン(後編)はこちらから
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