福井泰代さん “きっかけは、ベビーカーでの移動”
今やなくてはならない、「乗り換え便利マップ」も小さな苦労の積み重ねの結晶なんですね。 |
地下鉄に乗ったときに、駅の柱にどの車両に乗れば乗り換え口に一番近いかが一目でわかる「乗り換え便利マップ」が貼られていることをご存知の方は多いと思いますが、福井泰代さんこそ、この「乗り換え便利マップ」を作った人。
さかのぼること今から10年。JR西日暮里駅のホームでベビーカーを押していた福井さん。改札に向かうためにエレベーターかエスカレーターを探し、ホームを端から端まで歩くも、エスカレーターがあったのは結局ホームの中央。こんな経験は、小さな子供を持つ母親なら誰でもあることですが、福井さんは、「どの車両に乗れば階段やエスカレーターに歩かずに済むか、マップを作ったらどうだろうか」と思いつきます。
その後は、地下鉄の駅1つ1つに降りて、階段やエスカレーターの位置を自分で調べて、お手製の地図に描き込んでいくという作業をスタートさせます。地下鉄の駅の数、いくつぐらいあるか想像がつくでしょうか。現在でいう東京メトロも合わせると、当時は256駅。その1つ1つの駅を回ったというのですから、驚きです。出来上がったものを営団地下鉄(当時)に売り込みますが、そう簡単にイエスとは言ってくれません。長きにわたる苦労と挫折の末、営団地下鉄全線にマップが貼られることになったのです。
株式会社ナビットを立ち上げ、次々と順調に事業を拡大し、現在では年商3億に達しています。中学2年生、小学5年生の母親。
貞末タミ子さん “22年間の専業主婦の末に”
メーカーズシャツ鎌倉 代表取締役上質のシャツを全品4900円のワンプライスで販売して人気の「メーカーズシャツ鎌倉」の創業者。鎌倉マダムとして専業主婦をしていた貞末さんに起業の話が持ち上がったのは、10年前の当時、3人のお子さんを育てあげたタイミングでの出来事でした。アパレル会社に勤務していたご主人を毎朝車で駅まで送ることが専業主婦だったタミ子さんの日課。そのときに、コンビニの2階がテナントを募集していることを知ったご主人が貞末さんに言います。「あそこでシャツの店をやってみる?」「いいわよ」。この会話がきっかけで2人で会社を興す決心をします。
そこから貞末さんは、仕事をするならと当時全盛だったというワープロを習おうと自分のヘソクリを使って教室に通い始めます。コンビニの2階にオープンした17坪のお店で1日にシャツを4枚売りあげる目標からスタート。1人1人のお客様にお茶を出し、子どもにはアイスクリームを出すような、心のこもった接客をされてきた貞末さん。それから10年、現在では都心を中心として全国12店舗に、そして従業員も70名にまで成長しました。
江村林香さん“既成の概念にとらわれない生き方”
同性から見ても、ほれぼれする決断力を持ったハンサムウーマン。かっこいいですね。 |
2004年8月、北海道の函館と帯広間を結ぶ地域エアコミューター航空会社、エアトランセが誕生し、江村さんは業界初の女性社長となりました。エアトランセの前身の会社は、時間にして5年、約20億円の資金をかけながらも、結局1便も飛ばせないまま経営不振に陥った会社。そこで新社長にとして白羽の矢が立ったのが当時観光ハイヤー会社社長をしていた江村さんでした。
江村さんは、要請のあったその日に決心。「飛ばない航空会社」とまで言われた会社を引き受けることにしました。その1ヶ月後には、エアトランセを設立。さらに、通常は会社を設立してから、就航までは数年かかるのが常識と言われる業界にあって、なんと7ヶ月というスピーディさで第1便を飛ばしたのです。現在、3歳と1歳未満のお子さんの母親でもある江村さん、メディアからの注目度は、ますます高まるばかりです。
江村さんのブログ
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以上、今回は3人のミセスをご紹介してみました。生活者として、母としての視点をビジネスに変えた福井さん、長い専業主婦の期間を経て小さなシャツ屋さんを都心の働く女性に大人気の「鎌倉シャツ」にまで大きくした貞末さん、誰もが手を出さないようなビジネスを見事に成功させた江村さん。みなさん、セカンドキャリアを考える女性たちの「憧れ」。
子どもを育てながら仕事をするのは、容易ではありません。その時々の優先順位を間違えないようにしながら、自分にとっての大事なことも持ち続ける必要があり、そしてそれはとてもエネルギーの要ること。
それでも輝き続けるという意味では、黒木瞳さんも緒方貞子さんも、今回ご紹介した3人の女性たちも同じですね。結婚して、子どもが生まれたら自分の輝きが失われてしまうのでは?と思いがちですが、これから結婚・出産を経て仕事を続けていきたいと願う女性たち、そしてセカンドキャリアを考えていらっしゃる方の希望になればと思います。