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ローン金利の先安感 「終わり」の始まり(2ページ目)

住宅ローン金利の先安感に、「終わりの始まり」とも取れる兆候が見え始めています。08年7月からの金利のダウントレンドが転換期を迎えたのです。はたして今後、ローン金利はどうなるのか、独自分析してみました。

平賀 功一

執筆者:平賀 功一

賢いマンション暮らしガイド

景気回復期待が長期金利を上昇させる(?)


なぜ、8カ月間続いた住宅ローン金利の先安感が後退し始めたのか?―― 主因として考えられるのが長期金利の上昇です。下記グラフを見ても分かるように、3月後半からの急上昇には目を見張るものがあります。幸い、4月に入ってからは横ばいですが、この地殻変動が金利トレンドを上振れさせる“きっかけ”になったことは間違いないでしょう。

では、なぜ長期金利は上昇したのでしょう。ここで金利決定メカニズムの基本原則を復習しておくと、長期金利は国内経済はもとより物価や海外の金利、さらに、為替などの外部環境がどのように変化するかを予想し、その予想結果が「プラス(期待できる)」となれば上昇、逆に、「マイナス(不景気が継続)」となれば下落する性質を持ちます。かなり乱暴な表現をすれば、特殊な事情がない限り、長期金利は景気動向に連動するのです。つまり、わが国経済にも景気回復期待が高まってきたということです。

長期金利(新発10年物国債の利回り)の推移 (単位:%)
(出所) QUICK

それが証拠に、3月10日に年初来安値(7054円98銭)を付けた日経平均株価は5月1日に8977円37銭と、36営業日で1900円以上も持ち直しました。また、日本銀行が5月1日に公表した「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」からも、一部、明るさがうかがえます。

基本的見解こそ「わが国経済は大幅に悪化している」と述べられていますが、経済情勢の見通しについて「2009年度前半は悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まりに向かうとみられる」。また、「2009年度後半以降は、海外経済の回復や金融政策の効果もあって、穏やかに持ち直し、潜在成長率を上回る成長に復帰していく姿が想定される」と回復期待をにじませています。

もちろん、09年の公示地価は再び下落基調へと暗転し、3月の完全失業率は4.8%で335万人が路頭に迷う始末です。加えて、久しくサラリーマンの給料も上がらない中で、楽観的過ぎではないかとの意見も、ごもっともでしょう。確かに、不確実性が払しょくされていないのは事実です。ただ、繰り返しますが長期金利は「期待値」に応じて変動します。実態が伴うかどうかは切り離して論じる必要があるでしょう。

夏~秋には衆議院選挙 財政再建への道筋が争点に


むしろ、私、ガイド平賀が注目するのは、政局の行方です。ご存じ、今年2009年は選挙イヤー。7月12日には東京都議会議員選挙、また、9月10日には衆議院議員の任期が満了します。ビッグイベントが夏以降に控えているわけです。

争点として、再び、消費税の引上げ時期や財政再建をめぐる議論が活発化することは間違いないでしょう。2009年度補正予算では、赤字国債と建設国債を合わせ10兆8000億円もの追加国債が発行される予定です。その結果、新規国債発行額は約44兆円に達し、単年度としては初めて一般会計予算が100兆円を突破することになります。国債の大量発行は長期金利の上昇圧力につながりやすいだけに、金融政策と財政政策の行方が住宅ローン金利の方向感までも決めてしまいかねない情勢です。

昨年10月、麻生首相は「この試練を乗り切るためには、当面は景気対策、中期的には財政再建、そして中長期的には改革による経済成長という3段階を踏んで日本経済の立て直しに臨んでいきたい」と述べていました。まさしく同感です。これからは中期目標である財政再建へと、政治の軸足を移す時期(第二段階)に差し掛かっています。長期金利(=住宅ローン金利)を引き上げないためにも、迅速な実行をお願いしたいところです。

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