1ページ目 【ハマスの誕生/ハマスとPLOの関係とは?】
2ページ目 【「テロ組織」ともいわれるハマスが人々の支持を集めるのは?】
3ページ目 【ハマスは、そしてイスラエル-パレスチナ問題は今後どうなる?】

【「テロ組織」ともいわれるハマスが人々の支持を集めるのは?】

ハマスのリーダーは誰なのですか?

最高指導者であり、ハマスの指導者であったヤシン師は、2004年にイスラエルによって暗殺されました。

そして、後継となったランティシ氏も、数ヵ月後に暗殺されました。……日本では信じがたいかもしれませんが、イスラエルはこういった「暗殺作戦」を公然と行っています。

これ以降、暗殺作戦から逃れるため、ハマスは合議体制をとるか、もしくはリーダーの序列関係を隠すかしています。そのため、誰が最高指導者なのか、現在は不明です。

ハマスはなぜ、過激な自爆テロを続けるのですか?

ハマス組織図
ハマスの組織図。「武装組織」として知られているが、それはハマスの一つの顔にすぎない。
ハマスは「イスラエルのせん滅」「イスラエル人のパレスチナからの追放」を主張しています。それが、テロを正当化する根拠になっています。

もう1つの理由もあるでしょう。

PLOは、1990年代以降イスラエルと対話を続け、「パレスチナ自治政府」に昇格、イスラエルとの和平路線へと転換してきました。

これに対する人々の反発などを、ハマスの過激なテロ路線が吸収し、ハマス支持を広めていると考えることができるでしょう。

ハマスはどうやって、そのテロ資金を集めているのですか?

ハマスは、アル・カーイダなどと同様、サウジアラビアなどにいるイスラム原理主義的な考えを持つ富裕層などから、献金を受けていると考えられます。

ハマスは年間80億円前後の資金を集め、運用していると思われます。

自爆テロは、人命というかけがえのない命の価値を無視すれば、きわめてコストの低い手段です。プラスチック爆弾などは、きわめて安価に手に入ります。また、プラスチック爆弾は威力は弱いものの、バスや地下室といった閉鎖空間では有効です(爆発の圧力と空間の圧力の関係から。プラスチック爆弾は爆発力は少ないですが最初の爆風で与えることのできる圧力は大きいため、閉鎖空間では効果的なのです)。

むろん、ダイナマイトより簡単で低コストのテロを行うことができます。

ただ、そうはいっても「命を捧げる人」がいなければ、ここまで何年も絶え間なく自爆テロを行うことはできません。

パレスチナ人の半イスラエル感情もあるのでしょうが、ハマスが「何にも変えられない命」を集めるだけの「資金力以上の求心力」を持っていることにも注意が必要です。

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ハマスが人々をひきつけるのはなぜですか?

ハマスと人々
緑はハマスのシンボルカラー。ハマスはパレスチナ最大の慈善・福祉団体として認識されていて、それが人々をひきつける要員となっている。
ハマスの武装闘争路線だけで、これだけの求心力を説明するのは難しいでしょう。

ハマスは、先ほどいった大きな年間予算のほとんどを教育、医療、福祉といった分野に費やしています。ハマスはテロ組織であると同時に、「ガザ地区最大の慈善・福祉組織」でもあるのです。

これが他のテロ集団と一線を画するところであり、人々をかえってひきつけている由縁であろうと思われます。

反面、パレスチナ暫定政府機構の主流派であったファタハは、特に人々の貧困を具体的に解消することをしませんでした。もっともファタハにお金がないわけではなく、アラファト元議長が経営していたカジノなどから多くの資金が供給されています。

このようなファタハの態度に対する反感も、さらにハマスに対する支持を広めていったと思われます。

それにしても、ハマスの拡大には驚くべきものがありますが……

これは一部で言われていることですが、「イスラエルは当初、ハマスなどイスラム勢力を利用しようとし、援助も行っていた」という情報があります。

世俗主義的民族解放運動組織・PLOがイスラエルにとって「最大の敵」であった70年代後半から80年代はじめにかけて、イスラエルはPLOをけん制する意味でイスラム勢力を援助してきたというのです(UPI通信のサイトによる)。

そしてPLOが1982年のイスラエルによるレバノン侵攻で隣国の首都ベイルートから遠く離れたチュニジアのチュニスに移った後、「育てられていた」イスラム勢力はインティファーダの波に乗って、一気に成長、ハマスとして台頭してきたというのです。

これが事実だとすると、もともとアメリカの支援を受けていたアフガニスタンのムジャヒディーン(聖戦士)たち(※アフガニスタンはソ連に侵攻されていたため)の一部が、アル・カーイダとなってアメリカを攻撃しているのと同じ、皮肉な構図ができているといえます。

さて、次ページでは今度の選挙までの道のりと、今後についてみていきましょう。

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