社会ニュース/よくわかる時事問題

押しつけた者勝ち?!「ゴミ戦争」の舞台裏(2ページ目)

リサイクル意識の高まりを受け、全国のゴミは、順調に減少街道を進んでいます。一方、意外と知られていないのが、30年も続く「東京ゴミ戦争」。そこで、ゴミの押しつけを巡る壮絶なバトルを探ってみると……

執筆者:志田 玲子

江東区・夢の島を舞台に、「ゴミ戦争」が勃発!

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写真提供:フリー画像素材EyesPic
1960~70年代にかけ、都内のゴミの多くを埋め立てていた江東区・夢の島に、ハエが異常発生。ゴミ処理が大きな社会問題となり、71年当時の都知事が、「ゴミ戦争」の非常事態宣言! その後も、江東区議らが杉並区からのゴミ搬送を実力で阻止する騒動が起きるなど、一部の区に他区のゴミが集中する「押しつけ状態」が続きます。

これに業を煮やした江東区の議員グループは2006年、ゴミ処理負担の公平化を特別区長会(23区の区長で構成)に要請……。

「ゴミ戦争」は、負担金支払でやっと終結

その後、今年3月になって、区長会はようやく合意にこぎつけました。その内容は、「可燃ゴミを区内で処理しきれない区などは、ゴミ1トンにつき1,500円を負担し、他区のゴミを大量に引き受けている区に支払う」。この結果、各区は清掃工場を持っているか否かなどにより、負担金を受け取る側と支払う側に分かれます。

■受け取る側…… 江東区、墨田区、北区、中央区など9区。年間約270万トン=23区のゴミの6分の1を受け入れてきた江東区の受け取りは、年間でなんと2億円超!
■支払う側…… 新宿区、千代田区、台東区、中野区、文京区など清掃工場をもたない6区を含め、14区。最高は新宿区で年間8,900万円
※ 2006年度の処理実績から推定、参考資料:2008年3月15日付読売新聞。

ゴミ処理には、公平な負担の仕組みが不可欠!

こうして、30年以上にわたった「ゴミ戦争」は、ようやく決着をみましたが、清掃工場も、1ページで見た最終処分場と同様、いわゆる「迷惑施設」。誰もが「自宅近くには作らないで……」と願いたくなる、嫌われ者の施設です。しかし、人間の生活にゴミはつきもの。その処理を他の自治体に押しつけたまま、後は知らんぷり!では、あまりに不公平……。そういう意味では、負担金制度の導入は公平性を確保する1つの解決方法と、言えそうですね。

ところで、私たち日本人が出すゴミの量は、外国人と比べて多い?少ない?→ 次のページへ
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