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「休んでいいよ」はプレッシャー?“何もしない”を怖がる日本人が知らないドイツ人の疲労回復方法

「休む=怠けること」そんな考えに縛られている日本人は多いでしょう。一方、ドイツでは休むことはポジティブな要素。ここではドイツ式「何もしない」時間の過ごし方についてご紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

ドイツ式「何もしない」時間の過ごし方 ※画像出典:PIXTA
ドイツ式「何もしない」時間の過ごし方 ※画像出典:PIXTA

仕事や家庭への責任感から、休日に「何もしない」のはダメなことだと思い込んでいませんか? 上手な休み方を知らない日本人に比べて、ドイツ人は「何もしない」休息の方法を心得ています。

松居温子さんの著書『日本の3倍休んで1.5倍の成果を出す ドイツ人のすごい休日』ではドイツ人の休み方について詳しく解説。今回は本書から一部を抜粋し、「何もしない時間」を使ったドイツ流の休息術をご紹介します。

<目次>

ドイツ人にとっての「何もしなくていい時間」

多くの日本人にとって、休みは「何かをする時間」ですが、ドイツ人にとって休みは「何もしなくてもいい時間」でもあります。

成果を上げるために必要なのは、常に好きなことだけをやって、常に動き続けることではありません。むしろ一度立ち止まり、自分の内側を整えることが、次の行動の質を高めることにつながります。

それは、単純にスケジュールを変えたり、行動を変えたりすることではなく、「時間をどう使うか」という考え方そのものを見直すことです。

ドイツ流の休み方を見ていると、この「何もしない」時間の使い方が、疲労の回復はもちろん、成果の出し方に差を生み出しているような気がします。長い時間、同じ課題にギュッと取り組みすぎると、意外と頭のなかで堂々巡りとなり、解決できることでも時間がかかります。頭のなかが凝り固まってしまうのです。

だからこそ、いったんそこから離れて、考えるのをやめてみる。そうすると、「なんだそんなことか」と気づくことがあったり、「この課題を○○さんに相談してみよう」と答えが見つかったりする。休むことには、そうしたインキュベーション効果を起こす力があります。

成果を狙わずに過ごすことが大切

ただ、ドイツ人たちは、必ずしもそうした成果をあえて狙って、何もしない時間を過ごしているわけではありません。

彼らにとっての休息は「何かを生み出さなきゃいけない」「解決策を出さなくては」といったプレッシャーや責任感のもとで過ごすことではなく、それらの課題をもちながら、いったんすべてを脇に置いて、森の散歩に行ったり、ぼーっとしたりすることなのです。

それよりも心地よく仕事をするために、自分のなかに溜まったストレス、混乱、迷い、そういうものから一旦意識を解放させたい。自分にとって心地がいいことをして、頭も心もすっきりさせたい。そんな純粋な欲求から時間をつくっている印象を受けます。

そのため、ドイツ人にとって大切にしたい時間のなかには、とてつもなくアクティブに自分の好きなことに没頭する時間もあれば、自宅のソファーに寝転んでぼーっと窓からの景色を眺めたり、森や川に出向いて、ぼーっと外を眺めるという時間もあります。

つまり、何をしてもいいし、何もしなくてもいい。自分を解放する時間というものを、意識的に自分のためにつくるのです。

日本人が「何もしない」と不安になる理由

この感覚は、日本人にとっては少し混乱するところかもしれません。日本人の場合、ドイツ人のように「何もしない」といきなり言われても、やりたいこと、やるべきことに偏ってしまいがちです。

(中略)

日本人は幼少期から、「何もしていないのは怠けていること」「よくないことだ」という思考の癖を身につけてきました。そのため、休みの日であっても、何かをしていなければならない、という意識が強く働きがちです。

この傾向は、家庭のなかでも見られます。お父さんもお母さんも、それぞれの役割のなかで「何かをしていなければならない」と頑張り続け、その姿を見て育つ子どもも、「ダラダラしているのは悪いことだ」という感覚を自然と身につけていきます。

やがて、何もしていない状態を、「役割を果たしていないこと」と結びつけるようになるのです。学校生活における先輩・後輩の関係や、部活動、クラス運営などでも、常に集団のなかで役割や連帯責任を求められる場面は少なくありません。こうした環境のなかで、「役割を果たさなければならない」「そうしないと誰かに迷惑をかける、責められる」という強迫観念のような意識が深く根づいていきます。

もちろん、こうした責任感や役割意識が、日本の社会を支えてきた側面があることも事実です。一つひとつを丁寧に積み上げ、互いに努力を重ねていく姿勢は、高いサービスや技術、妥協のないものづくりを生み出してきました。多くの人が仕事に打ち込み、社会を支えてきたからこそ、今の日本があります。

後回しにされてきた「個人の幸せ」

ただその一方で、頑張ることが当たり前になりすぎた結果、家族や個人の幸せが後回しにされてきた側面もあります。自分が幸せだと感じることや、本当にやりたいことよりも、会社や集団の空気を優先してしまう。強い責任感や役割意識がそこに向かいすぎたとき、仕事から離れたあとに、自分のなかに何が残るでしょうか。

これまでの日本では、「頑張るか、頑張らないか」という二択で物事を考えがちでした。子育てかキャリアか、仕事かプライベートか。そのどちらかしか選べないような感覚が、長く共有されてきたのです。けれど本来、仕事とプライベートは対立するものではありません。どちらかを犠牲にするのではなく、どちらも大切にするという選択肢があっていい。これからは「仕事か、人生か」ではなく、「仕事も、人生も」取るという視点が必要なのです。

仕事もプライベートも、休みも成果も、タスクを見極め、切り捨て、うまく時間を回せるようになれば、それぞれが心地よく、快適に生きられるようになります。そのとき、私が色々な国の人たちを見てきて感じることは、自分が日本人だということを抜きにしても、日本人ほど良いものを生み出し、幸せを広げていける国民は他にいないのではないかと感じます。

もちろん、私は世界中すべての国の人と接した経験があるわけではありません。しかし、日本の技術や日本食、アニメをはじめとする文化、そして丁寧なサービスに見られるように、物事を追求し、突き詰め、工夫を重ねていく日本人の姿勢は、世界から高く評価されているといえるでしょう。

そうした日本人の性質を「休む時間」にも生かし、自分が本当に楽しいと思えることを主体的に実行していくことができれば、それは結果的に仕事の成果へとつながっていくと感じます。

 

松居温子(まつい・あつこ)
株式会社ダヴィンチインターナショナル 代表取締役。ドイツ歴40年。父の転勤により8歳から13歳までドイツで暮らし、現地校に通う。ドイツ語を習得し、文化や生活に深く触れた少年期を過ごす。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、日本銀行に勤務。その後、ドイツのマイスター制度に解決策を見出し、高野哲雄とともにドイツ専門留学会社、株式会社ダヴィンチインターナショナルを設立後、ドイツに現地法人A&T GLobal GmbHを設立し現在に至る。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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