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子供も戦わされるスリランカ内戦(2ページ目)

インド洋にある小さな島国・スリランカでは、これまで25年もの間内戦が続いてきました。この内戦では単に戦闘が行われているだけではなく、未成年者が兵士として戦わされているという恐るべき事実が存在しています。

執筆者:鳥羽 賢

アフリカではまだ多く残る少年兵の問題

少年兵の問題は、スリランカだけではなく世界各国で存在しています。特にアフリカ大陸内で多く、これまで国連などによって報告されただけでも、シエラレオネ、ブルンジ、スーダン、ジンバブエ、ソマリアなど複数の国で存在しています。

なぜ軍隊は少年兵を雇うのでしょうか? いくつか理由がありますが、主なものは以下になります。

1.未成年は大人と違って何も知らないので、命令に対して従順に従う。軍隊に入れられるような子供は身寄りがないことも多いので、逃げ出すことが少ない。
2.未成年を戦場に送り出すことで、相手に対して心理的ダメージを与えられる。相手をひるませることができる。

と、書いていてもウンザリするような話ですが、これが現実です。

撲滅のための国際的取り組みは?

国会
少年兵問題の撲滅には政治的な動きが必要だが……
国際社会は当然ながら少年兵の存在を問題視しています。国際的に少年兵の問題について述べた法規にはジュネーブ条約があります。ジュネーブ条約とは、紛争における非戦闘員の保護を目的として、1864年以降に締結された諸条約のことです。

ジュネーブ条約の第一追加議定書、第77.2条によると「紛争の当事国は15歳未満の児童を戦闘に参加させないよう、可能な措置を取らなくてはならない」とされています。

しかし、ここで書かれている「可能な措置を取らなくてはならない」という言葉は弱く、明確に「禁止する」と書かれていません。これでは「やむを得ない場合は参加させてもいい」と解釈できます。

「児童の権利に関する条約」でも同様の記載がありますが、こちらも「可能な措置を取らなくてはならない」と書かれているだけで、「禁止」とは言っていません。

少年兵の問題に対する国際的な取り組みは、まだ弱い部分が多々あります。しかし心身が未熟な状態で兵士として戦場に送られることは、その後の人生に大きな悪影響を及ぼします。未成年が兵士になるような話は、世界からなくなって欲しいものです。

参考サイト

Associated Press of Pakistan
The Hindu


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