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アルカイダを生んだ「親米国」という矛盾(3ページ目)

世界の石油産出ナンバー1、そして中東きっての親米国として知られるサウジアラビア。そんなサウジの国内が微妙に揺れはじめています。その微妙な動きをなんとかわかりやすく解説していきます。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【中東の雄・サウジアラビアってどんな国?】
2ページ目 【ロシアの原油生産と国民の反米感情が王制を揺さぶる?】
3ページ目 【アメリカの中東政策のまずさが今の緊張を生んでいる?】

【アメリカの中東政策のまずさ】
アメリカ外交、軍事力ほど優秀ではない?


今の中東は、パレスチナ人を支持するイスラム世界と、パレスチナ人を「迫害」するイスラエル、そしてそれを支持するアメリカとの対立、という図式に見えがちです。

しかし、よくよくみたら中東諸国も立場はばらばら。イランとイラクは戦争までした関係ですし、パレスチナ人はむかしヨルダンに迫害され散々な目にあっています。サウジのようなイスラム教主義政策を行うところもあれば、イラクやシリアの政権党「バース党」のようにむしろ脱イスラムをすすめているところもあります。

しかし、アメリカの最近の中東政策は、そんなバラバラであるはずの中東諸国を「イスラムの大義」というやっかいなイデオロギーのもと団結させ、かえって問題の解決を困難にしているようにみえます。

もちろん、過去には和解の仲介の労もとってきました。エジプトとイスラエルの友好条約はアメリカの仲介で行われてきましたし、長年テロ組織とみなされてきたPLO(パレスチナ解放機構)を和平会談のテーブルの場につけたりもしてきました。

しかし今のブッシュ政権になって、アフガンを報復のため大規模空爆したり、パレスチナ人への報復をすすめるイスラエルを支持したり、そしてイラクの空爆を計画したりと、なんか反米感情を高めるようなことしか行っていないように見えます。

アメリカはもう少しイスラム世界のことを理解し、せめて「アメとムチ」ではないですが反米感情をやわらげるような政策もとるべきでしょう。今のアメリカ外交は「ムチ」ばかり。「アメ」(というのはいやな表現ですが、)、つまり貧困に苦しむ他の中東諸国の支援を行ったり、中東和平へのリーダーシップをもっと積極的にとる必要があるのではないでしょうか。

 

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