30歳前後の世代にとって家を買うか買わないかは迷える選択肢のひとつ
30歳前後の世代にとって家を買うか買わないかは迷える選択肢のひとつ
俗に言う「住宅購入適齢期」に差しかかった年代の人にとって、「家を買うか、買わずに借り続けるか」は大きな問題のひとつでしょう。ここでは両者の損得について、住居費に絞ったシミュレーションで比較してみます。

入居時の負担は買うほうが大きい

家を買った場合と借り続けた場合で、住居費の生涯コストにどのくらい差が出るのか、シミュレーションしてみましょう。

まず設定条件ですが、「買う」場合は76m2で3,905万円の新築マンションを購入するケースで試算します。この数値は不動産経済研究所による今年上半期(1月~6月)の東京都下の平均です。そのほかの主な条件は以下のとおりです。

・頭金805万円、住宅ローン借入額3,100万円(金利3.0%、35年返済)
・ローン返済額11万9,303円、管理費1万3,000円、修繕積立金6,000円
・毎年の税金(固定資産税、都市計画税)約21万円(当初5年間は軽減あり)
・住宅ローン控除額20万円(当初7年間。8~10年目は13万円)

一方、「借りる」場合の家賃は、日本賃貸住宅管理協会の平成17年12月~18年3月のデータから、東京都都下の14万6,721円を参考に14万6,000円としました(賃貸マンション70~90m2)。そのほかの条件は次のように設定します。

・共益費1万円
・入居時の費用58万4,000円(家賃4カ月分)
・更新料14万6,000円(2年に1度)

まず入居時点でかかるお金ですが、借りる場合が敷金など58万4,000円です。これに対し、買う場合は頭金として価格の2割と諸費用(価格の3~5%)を支払う設定とすると、合わせて955万円となります。最近は頭金がなくても全額住宅ローンで変えるケースがありますが、諸費用だけで100万円以上かかるので買うほうが入居時の負担は大きいのが一般的です。

毎月の負担は借りるほうが重い

では入居後にかかるお金はどうでしょう。買う場合に毎月かかる費用はローンの返済額とマンションの管理費・修繕積立金です。ローンを金利3%の固定金利で計算すると、35年返済で毎月返済額は12万円弱。標準的な管理費・修繕積立金と合わせて13万8,303円になります。

借りる場合は標準的な家賃14万6,000円に共益費1万円を加えると15万6,000円となり、買う場合より1万8,000円ほど高くなる計算です。このところローン金利が上昇する場面がよく見られますが、まだ固定金利でも3%前後で借りられます。この程度の低金利であれば、同じくらいの広さのマンションで比べると、借りるより買うほうが毎月の負担が軽くなることが少なくありません。

年間の住居費は大差がない

ただし、買う場合は固定資産税などの税金が毎年かかる点が借りる場合との大きな違いです。固定資産税と都市計画税は地域やマンションによって税額が異なりますが、ここでは標準的な額として年間約21万円として計算しています。なお、新築マンションの場合は当初5年間は建物分の固定資産税が2分の1に軽減されます。

また、住宅ローンを借りて家を買うと住宅ローン控除が受けられます。入居から10年間にわたり、住宅ローン残高の一定割合が所得税から差し引かれて戻ってくる制度です。制度は年々縮小されることになっていますが、平成18年中に入居すれば当初7年間はローン残高(上限3,000万円)の1%が、8~10年目は0.5%が控除されます。とはいえ、支払っている所得税額よりも多く控除されることはないので、ここでは標準的な控除額として当初7年間は20万円で計算しました。

その結果、毎月の支払額と年間の税額を差し引きすると、買う場合の当初の年間負担は160万円強ですが、住宅ローン控除が終わる11年目以降は187万円台です。一方、借りる場合の家賃と共益費の年額は187万2,000円なので、2年に一度の更新料を考慮しても年間の住居費は買う場合も借りる場合も大差はないことになります。

45年間トータルの比較は次ページで。