無条件に譲歩してはいけない
交渉事の基本は、相手も納得でき、こちらにとってもメリットのある条件で妥結することです。もちろん相手を納得させるためには、一定の譲歩は必要です。しかし譲歩ばかりでは、こちらは損をしてしまいすよね。

そこで求められるのが、「相手の要求を呑みながら、その見返りとして、こちらにとってよりおいしい条件を引きだしていく」ことです。これが交渉においてもっとも重要なことであり、交渉の醍醐味でもあります。今回は、そのためのテクニック「バーゲニング法」を紹介しましょう。

苦労の様子を、お客さんにありありと見せよう

商談のとき、お客さんは営業マンにたいして、さまざまな要求をしてきます。例えば「この商品、もう10%ほど値引きしてくれないかな」「納期をもう2週間ほど早くしてくれないかな」などなど。

努力をすれば何とかお客さんの要求に応えられそうな場合、営業マンは必死に手を尽くそうとするものです。渋る上司を粘り強く説得したり、製造部門の担当者と何度も交渉を重ねたり……。

ところが努力の末にようやくお客さんの要求に応えることができたのに、お客さんは営業マンの努力をあまり評価してくれないことが多いですよね。本当は「そこまであなたがやってくださったんだから、こちらも何か見返りをしますよ」という言葉を期待しているのに、「ああ、そうですか。よかったです」という言葉だけで終わってしまうこともしばしばです。

ねぎらいの言葉一つもないなんて、これでは完全に「骨折り損のくたびれもうけ」です。しかしこれはある意味、やむを得ないことです。お客さんは、自分の要求を実現するために、営業マンが社内に戻ってどれだけ頑張ってくれたかがわかりません。営業マンの陰の努力は、まさしく「陰」であるがゆえに、お客さんには見えないものなのです。ではどうすればいいのか。

いかにこちらが苦労して、相手の要求に応じるために譲歩しているか、交渉の場面でその様子をありありと見せつければいいわけです。そして相手から、貸しを作った以上の見返りを引きだしていく。これが「バーゲニング法」の基本的な考え方です。「バーゲニング」とは交渉術における専門用語で、「取引」とか「駆け引き」という意味になります。