コーチング/人材育成・組織作り

リーダーは一人称で語り、一人で歩き始める

職場や会社のリーダーになるにはどうすればいいのでしょう?実はリーダーはなろうと思ってなれるものではありません。「結果としてリーダーになる」ものなのです。できるのは「自らのリーダーになる」ことです。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


リーダーになるためにはどうすればいいのでしょう? 実はリーダーはなろうと思ってなれるものではありません。「結果としてリーダーになる」ものなのです。まずあなたにできることは「自らのリーダーになる」ことです。

《CONTENTS》●「私には夢がある」(1P目)●まずは「自らをリードする」ことから始まる(1P目)●「内なる声」を聴く(2P目)●本気ですれば誰かがついてくる(2P目)

「私には夢がある」

ガンジーに学んで非暴力を貫き、ガンジーと同様、暗殺による最期を遂げた
“I have a dream.”(「私には夢がある」)

多くの人がこの言葉を知っているでしょう。アフリカ系アメリカ人の解放運動に身を投じ、公民権運動のリーダーとなったキング牧師の演説の一節です。

アラバマ州でプロテスタント・バブティスト派の牧師だった彼は、1955年に人種隔離に抗議しバス・ボイコット運動を始めたのを機に、全米の公民権運動を指導しました。

そして20万人以上の参加者を集めた1963年8月の「ワシントン大行進」で、キング牧師は冒頭の言葉で始まる演説を行い、世論の大きな支持を勝ち取ります。そして、1964年7月には公民権法が制定され、法律上の人種差別は撤廃されたのです。

キング牧師は紛れもなくリーダーの一人と言えるでしょう。ここで注目してもらいたいのが、彼の言葉です。

彼は「われわれには……」と複数形ではなく、「われわれの団体は……」と三人称でもなく一人称で語りかけました。そして、「夢を見てください」とお願いするのでもなく、「夢を見なさい」と命令もしませんでした。

さて、あなたはどうですか? 「私には夢がある」と一人称でメンバーに語りかけているでしょうか?

まずは「自らをリードする」ことから始まる

リーダーシップを「旅」にたとえ、「旅の結果、帰還、生還した時に結果としてリーダーになる」と独自のリーダー論を展開しているのがNPO法人・ISL(アイ・エス・エル)でリーダーを輩出する場を提供している野田智義さん。

「リーダーは結果としてなる」

神戸大学大学院・金井壽宏教授との共著・『リーダーシップの旅――見えないものを見る』(光文社新書)で、野田さんは鬼退治をした桃太郎、インド独立に尽くしたガンジーなどの例を挙げ、リーダーの誰も最初からリーダーであったわけでもなく、リーダーになろうとしたわけでもないといいます。

「旅はたった一人で始まる」

「他の人が見ない何かを見てみたい」と思い、たった一人で未知の世界へ一歩踏み出すところから、リーダーシップは始まります。野田さんは、リーダーシップの旅を次の3つの段階で考えます。

● リード・ザ・セルフ(自らをリードする)

● リード・ザ・ピープル(人々をリードする)

● リード・ザ・ソサエティ(社会をリードする)

まずは、リード・ザ・セルフから始まります。「上司が……」「会社が……」ではなく、まずは「私が」という一人称から始まるのです。

「リード・ザ・セルフ」(自らをリードする)ための第一歩は? 次ページへ>>
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