ワンルームマンションの孤独な戦い
▲経営哲学からの人づくり―不動産再生のサンフロンティア不動産 |
取締役まで勤めた不動産会社を辞め、不動産売買仲介会社を立ち上げた堀口氏は、すぐに独立が簡単なものではないことを思い知らされる。以前は自分の机に戻ると「トランプの神経衰弱のように、電話メモがズラーッと並んでいた」が、戻っても誰もいないワンルームマンションの事務所。秘書代行センターに電話をしても、冷たく「何の連絡もありませんよ」といわれる孤独な毎日が続いていた。
それでも電話営業で新規開拓していると、ごく少数だが反応してくるお客様も出てくる。ある日「夜中の2時なら暇になるから会ってもいい」という客とアポが取れる。「ずいぶん忙しい人だな」と思いつつ訪ねると、翌朝の始発まで話に付き合わされた。
バブル崩壊後の不遇の時代
変わった人だと思いつつ、何度か会ううちに商談が進み、ついに数億円のビルを買ってもらう案件がまとまった。堀口氏はこれで何とか命拾いすることができたが、実はその顧客は資金繰りにかなり苦しんでいたことに後になって気づくことになる。手付金は受け取っていたものの、その債権が不審なグループの手に渡り、いつの間にかビルが占拠されていた―――。
堀口氏の素早いリカバリーで、そこは何とか乗り切ることができたが、間もなくバブルの崩壊に直面することになる。不動産マーケットは急速に冷え込んでしまい、不動産売買の仲介は「バブル期を100とすれば3」という落ち込みよう。この暴風の中では元トップセールスも手の施しようがない。堀口氏はとにかく「食べること」を真剣に考える必要に迫られた。