キャリアプラン/キャリアプラン事例

希望をつかむ「120%理論」 小室淑恵さん(4ページ目)

先日初出産を終えたワーク・ライフバランス小室淑恵社長のビジネス哲学、プレゼンテーション技術、「憤りリスト」という独自の困難克服法をご紹介します。

執筆者:角田 正隆

寿退社して花嫁になりたいと思う女子大生でした

自分の運命を変えた講義


―――今、ライフワークだとおっしゃいましたが、いつごろからそう思っていたのですか?

小室:学生時代の私は、女性が働くことは、女性らしさを失うことだと思い込んでいて、そうはなりたくないから、腰かけ就職でもして、早々に寿退社して花嫁になりたいと思う女子大生でした。働く女性を取り巻く環境が厳しいと聞いていた私は、そういう不利なレースには出たくないと思い、どこかで逃げていたのだと思います。

ところがある日、大学で猪口邦子教授(現衆議院議員・内閣府特命担当大臣)の講義を聞き、第一線で働きながらも子供を持ち、女性として輝いている人がいる、ということを知りました。

それに大いに触発された私は、大学を休学してアメリカに渡り、ベビーシッターをすることでアメリカの家庭に密着して女性の考え方を学びました。そして、子供を産んでもキャリアを追求する女性は決して珍しいことではなく、むしろ日本が世界の中で特殊であることに気付かされました。そのときから日本を世界と同じように、仕事と育児が両立しやすい社会にすることが、私の目標になったのです。

女性はビジネスで有利?


―――猪口教授の講義で、印象に残っている言葉は?

小室:猪口教授は「女子大にいることが就職に不利だと思っていませんか?」と問いかけられました。私は「うん、うん、まさにそう思っているわ」と心の中で答えました。

ところが猪口さんは「これからは日本でも子育てしながら働く女性がどんどん増えますから、そうした女性がほしい商品・サービスを提供できる企業が勝っていくことになります。しかし日本企業には、子供を持ちながら働く女性が少なく、商品を企画するアイデアが不足しているので、今後は女子大の中で女性同士のネットワークを築いていて、仕事に活かすことのできるあなたたちは、むしろ有利なんですよ」というのです。

それまで「女性であることは仕事に不利」としか思っていなかった私には、目からウロコの言葉でした。

以来、私が猪口教授から気づきを得たように、私もこれから社会に出る学生の視野を広げるチャンスを提供できればと思い、将来の選択に立たされている大学3年生などから講演のご依頼を受けたときは、忙しくても積極的に受けるようにしています。出産して2カ月後には滋賀の立命館大学の琵琶湖キャンパスまで行って講演してきましたよ(笑)


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