希望の仕事ができなかったとき
▲株式会社シンプレクス・テクノロジー 代表取締役社長 金子 英樹氏 87年一橋大学法学部卒。同年アーサーアンダーセン入社。90年キャッツ ジャパン入社。91年ソロモン・ブラザーズ・アジア証券入社。97年シンプレクス設立。05年9月東証1部上場を果たす。参考記事「競争で自分を磨け!」 |
「希望の仕事をやらせてもらえないから」。アンケートを取ると常に上位にランクインする転職理由です。しかし、仕事が自分に合わせてくれることなんて100%ありえません。
必ずどこかで仕事に合わせざるを得ませんし、会社員という立場であれば、不本意な人事異動も覚悟する必要があるでしょう。そうした状況をいかに切り抜けるか大切です。そのヒントをシンプレクス・テクノロジー金子英樹社長の経験から学びます。
金融機関向けに特化したシステム開発会社として、設立約8年で東証1部上場を果たしたシンプレクス・テクノロジーは、専門的な金融業務のノウハウを持ちながら、従来のシステム業界の常識を打ち破る戦略で、大手システムインテグレーターを寄せ付けない競争力を確保しています。
傍流部門からの大逆転
それも金子さんを始めとする経営陣が、金融機関における豊富なシステム開発経験があるからなのですが、金子さんが外資系金融機関に入社したとき、配属されたのは傍流の情報システム部門でした。この部門は、会社全般の基礎システムには関わるものの、肝心の金融機関独自の業務システムにタッチできません。各事業部門ごとに独立採算制を採用する外資系企業では、業務に直接関わるシステム開発は、その部署独自でエンジニアを採用し、新しいシステムの開発を行なうのです。
「新聞の求人欄を見て、デリバティブ関連のシステム開発ができると思って応募したのですが、数学の知識がないため希望部署に落とされてしまったのです。それに気づかないまま面接が進んでゆき、希望の部署に入れないと気づいたのは、入社して情報システム部に配属されたときでした(笑)」