キャリアプラン/キャリアプラン事例

遠山社長 企画術&プレゼン術(3ページ目)

スープ専門店『スープ ストック トーキョー』は三菱商事の社内ベンチャー。その起案者「スマイルズ遠山正道社長」は、いかに上層部に新規事業を認めさせたか? そのアナログな企画書と“語らない”プレゼンの魅力。

執筆者:角田 正隆

繁盛店を生んだイマジネーション力

トーキョールー
新業態『トーキョールー』カレーなどルー専門店
多店舗展開する「スープ専門店」。それまでこんなコンセプトのお店は、存在しませんでした。実際に始めてみると、女性が1人でランチを楽しめるお店として、熱心なファンを獲得することになります。

今から考えてみれば、無添加・ヘルシー・清潔な店内といったコンセプトは、ヒットして当然だったかもしれません。しかし、参考とするモデルがない中、三菱商事で建設やITの部署を経験した遠山さんが、『スープ ストック トーキョー』を思い付いたのは、とても意外に思えるのです。ここでは遠山さんの「発想力」について迫ります。

自分の真価に気づく

三菱商事から「日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFCJ)」に出向した遠山さんは、高速道路サービスエリア内でのKFC出店などを担当していました。

しかし、自分の真価を発揮できるのは「KFCJの内部では思いつかない、新しいものを生み出すこと」だと考え、定時が終わった後で新しいビジネスプランを練っていました。

トーキョールーのメニュー
『トーキョールーのメニュー』ルーには徹底的にこだわった
遠山:私がKFCJに来て気づいたのは、「アメリカ生まれのKFCは、広い敷地を前提に設計されている」ことでした。大きなキッチンが必要で、厨房器具や内装も特注品が多い。「思った以上に投資がかさむ」という印象を受けました。

そこで考えたのが“低投資・高感度”というキーワード。店舗はコンパクトなスペースに、既製品などを活用しながら「低投資」でまとめ、その分センスや知恵などの「高感度」でカバーする。このキーワードに合致する業態を模索していました。

その答えは、思わぬ場面で導き出されました。

遠山:ある日、行きつけの小さなレストランに友人と集り、食事を楽しんでいました。集ったのは3~4人の女性とグルメ番組のプロデューサーなど。楽しくしゃべっているうちに突如、「女性が1人でスープを飲んでいるシーン」が頭に浮かんできました。

「スープっていいかも!」と直感した私は、それを周囲の友人に話し、その場で大いに盛り上がりました。これが『スープ ストック トーキョー』の構想が生まれた瞬間だったのです。

>「言葉」を軸に、発想を広げるのが遠山流

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