ビジネスパーソン「新・3種の神器」
―――1度、会社と距離を置き、自分の価値を客観的に把握すべきということでしょうか?藤田:逆に、会社も個人と距離を置こうとしています。終身雇用制が崩壊した今、会社は個人のキャリアを保証できなくなりました。
最近、私は研修の講師として、大企業の管理職クラスに「キャリア研修」を実施する機会が増えています。研修の内容は「個人に自立を促し、会社と対等の関係を築く」というものです。
▲「パーソナルビジョン(個人理念)策定シート」 (c)市場価値測定研究所 2005- |
私が受講者に話すのが、個人も会社と同じように「価値・理念・戦略」を持つべきだということです。先日、ある経営者と話をすると、景気の悪化で1度業績が落ち込んだのですが、この3つ、特に「価値・理念」が揺らがなかったために、復活できたと語っていました。
私は「価値・理念・戦略」を“ビジネスパーソン新・3種の神器”と呼び、これからの人材にとって欠かせない能力だと信じています。
この3つを兼ね備えた会社は、研究の結果、成長し続ける会社が多いようです。個人も、明確な哲学やこだわり、信念などの価値(バリュー)を持った人材は、どんな状況でも決して揺らぐことなく、成長しつづけるのです。
理念は価値から導き出されるものです。当社では上図のようなシートを、理念をまとめるツールとして提供していますので、ぜひご利用ください。
目標の「ストレッチ」
▲「パーソナルストラテジー(個人戦略)策定シート」 (c)市場価値測定研究所 2005- |
戦略策定はゴール設定が重要ポイントになります。ゴールをなるべく具体的に持つと実現可能性は高まります。左図の表で言えば、なるべく多くの「軸」を使って自分の将来像を描くといいでしょう。
近年、キャリアの専門家の間では、キャリアを単に「仕事」と捉えるのではなく、家庭や地域社会などとの共存を重視する「ライフ・キャリア」という考え方が主流になっているのです。
そして、目標設定は“ストレッチ”という言葉を意識しながら考えるといいでしょう。
ストレッチとは「ジャンプすればギリギリ届く目標」という意味です。無理でもなく簡単でもない、頑張れば何とかできるポイントに目標を設定する。そうすれば、目標達成が無理だと最初から諦めることはないし、逆に慢心することもありません。