中古住宅・中古一戸建て/中古住宅の購入術

中古住宅嫌いが日本の家を短命にする?

欧米の家に比べて短命だと言われている日本の家。その理由の一つは中古住宅の人気がないことです。なぜ、日本では中古の住宅の人気がないのか、今回はそのあたりから日本の家の寿命について考えます。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

以前、アメリカの住宅平均寿命は44年、イギリスは75年! 日本の家が短命なワケや、安くなる日本の家と価値が上がる米国の中古住宅(2) 家の古さを魅力にする2つの要素でも触れましたが、日本の家は欧米の家に比べて短命だと言われています。ちょっと手を加えれば、もっともっと長生きできる住宅も多いはずなのに、多くの家が築年数を経ずに解体されてきました。なぜ、短命なのか、今回は、中古住宅と日本の家の寿命について見ていきます。

中古住宅が不人気!? 日本の住宅市場

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日本の住宅市場では、欧米に比べて新築が占める割合が圧倒的に大きいのです
不動産流通経営協会(FRK)が2008年の春に発表した調査によると、日本の住宅市場において、住宅の取引全体で既存住宅(中古住宅のことを正式にはこう呼びます)が占める割合は、約28%となっています。一方、別の調査によると、アメリカでは70%以上、イギリスでは80%以上が既存住宅の取引だそうです。これらの数値から、日本の住宅市場では欧米に比べて既存住宅の人気が低く、新築ばかりがもてはやされている現状がわかります。

恐らく、売買されない既存住宅の多くは解体され、その土地に新しい家が建てられ、新築住宅として再び市場に出て行くのでしょう。これでは、いつまでたっても、日本の家の寿命は長くなりません。

既存住宅の流通が増えない理由-買う場合

中古の住宅はなぜ、日本で流通しにくいのでしょうか。まずは、既存住宅を買う人の立場からみてみましょう。

中古の家を買うとき、まず最初に、耐震性についての不安があると思います。1981年以前に建てられた建物の中には、現在の耐震基準に満たないものがあります。古い建物でも高い耐震性を備えた建物もあり、耐震診断を受けて適切に耐震改修をしたことが重要事項説明書に記載されている物件もあるのですが、このことを知っている人は少ないでしょう。また、あまり普及しているとはいえませんが、既存住宅の住宅性能表示制度などで客観的な評価がわかる物件も少しずつ増えてきています。「200年住宅ビジョン」でもうたわれている「住宅履歴書」が整備されてくれば、既存住宅の売買の際の不安も、もう少し払拭できると思うのですが、このあたりが既存住宅の流通のネックになっていると考えられます。

もうひとつは、税制や住宅ローンなどが新築に比べて、既存住宅の場合は条件が厳しかったり、不利な条件になっていることです。例えば、同じ既存住宅でも築年数が古い建物だと住宅ローンを組むのが難しかったり、新築に比べ返済期間が極端に短くなる場合があります。また、住宅を取得したときに受けられる減税が中古住宅の場合は受けられなかったり、売買を仲介する仲介業者に手数料を払うなど、新築以上に購入当初に費用がかかることがあります。こういった購入時の環境についても、新築と差がなくなってくれば、中古住宅の購入を検討する人が増えるかもしれません。

次のページでは、既存住宅を売る人の立場に立って問題点を考えてみましょう。

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